そもそもグローバル経済というのは、それぞれの国が得意技を持ち寄ってつくったカラオケセットのようなものだ。カラオケはBGMが流れ、テンポが刻まれ、モニターに表示される歌詞の色が変わるタイミングに合わせて歌えば、誰でもそこそこ上手に歌える。つまりBGMと字幕に合わせれば、どんな国でも経済が回るようにできている。逆にBGMと字幕を外したら、ろくに歌を歌えない国ばかりなのだ。

そんなグローバル経済にあって、(原材料さえ持ち込めば)アカペラで歌う歌唱力を持っているのが日本なのである。アメリカのように世界中から借金して身動きが取れないわけでもない。にもかかわらず、キンコンと鐘が2つ鳴る程度の歌しか今の日本は歌えていないのではないか。

今の日本がなすべきことは何か。日本の突破口がどこにあるのかを考えるとき、私の頭には「都市づくり」というキーワードが浮かんでくる。

これは日本が一番サボってきた分野の1つだ。たとえば京都は中国の古都・長安に倣っただけあって、今でもしっかりした街並みが残っているし、風情もある。

ところが大阪の場合、慶長20(1615)年の夏の陣で破壊されて以来、これといった都市計画は行われてこなかった。万博のときに千里まで行く新御堂筋線が開通して、あとは大阪城公園の周囲にOBP(大阪ビジネスパーク)道路ができたぐらい。

名古屋は東西南北に100メートル道路が走っているが、中心部のごくわずかなエリアのみで、世界の一流都市の街並みとは比べるべくもない。

東京の街に至っては、これぞ21世紀の大都市と思えるところが1つもない。私のオフィスがある千代田区六番町は、もともとお屋敷町で江戸時代の古いレイアウトが残っている。東京で街並みがハッキリしているのは、ここと東急の五島慶太氏が開発した田園調布、それから国立の駅前くらいだ。

地震がくれば下町の8割は液状化すると言われながら土地改良は一向に行われず、消防車の入れない路地がクモの巣のように張り巡らされ、開かずの踏み切りが1000カ所もある。それが約1300万人が暮らす経済大国の首都の現実で、このまま50年後の子孫に残していくには何とも忍びない。