「前原誠司外相はポスト菅直人を狙っているな。岡田克也幹事長を意識している」

民主党首脳の一人は菅改造内閣発足に当たり、そうつぶやいた。

参院で過半数割れしている民主党に予算関連法案を成立させられる見通しはなく、春には菅政権が行き詰まるのは目に見えている。そこで民主党内では、ポスト菅は誰かに注目が集まっている。

「ポスト菅は、ともに民主党代表の経験のある前原、岡田のマッチレースとみられている。しかし自由に動ける前原さんに比べ、幹事長の岡田さんが今後厳しい立場に追いやられるのは確実。岡田さんの幹事長続投で、ポスト菅の一番手は前原さんになった」(民主党中堅代議士)

幹事長は選挙の責任者だ。2月の愛知県知事選挙、名古屋市長選挙を皮切りに4月には東京都知事選など統一地方選挙が予定されている。しかし、昨年末の茨城県議選をはじめとする各種選挙で民主党は大敗。地方組織からは「民主党の看板では選挙を戦えない」との悲鳴が上がっている。特に、普天間基地移設問題で振り回された沖縄県民の民主党への失望は大きく、「沖縄の地方議員は全員で民主党を離党し、無所属で立候補するのではないか、という噂すら党内に流れている」(民主党参院議員)状況だ。

「地方選惨敗は不可避。岡田幹事長は敗北の責任を取らされ、ポスト菅の資格を失う。岡田氏が内閣改造前、『なり手がいなかったら私が官房長官になりましょうか』と菅首相に幹事長交代を打診したのも、それを心配したためとみられている」(全国紙政治部デスク)

一方の前原外相は、今年に入って日朝交渉の必要性に言及したり、訪米して米政府ナンバー2のバイデン副大統領と会談するなど、菅首相が苦手とする外交で前原カラーを打ち出している。外相のカウンターパートは国務長官。副大統領との会談はポスト菅の一番手として米政府要人に自らをアピールする狙いがあったとみられている。外務省関係者が言う。

「外務省では事務次官を辞めた人を顧問にする慣例があったが、当時の岡田外相が廃止した。ところが前原氏は、外相になるやこの慣例を復活させた。岡田氏への対抗心の表れとささやかれています」

今春には「前原首相」が誕生する?