私が駐在していたのは英語圏のアメリカとニュージーランドで、あまりほかの外国語を学ぶ機会はありませんでしたが、もし今から勉強するとしたら、BRICs諸国の中で英語があまり通じず、将来性がある国の言語ということで、ポルトガル語か中国語を選ぶでしょう。ブラジルと中国は、中東諸国やインド、ヨーロッパの国々と比べ、現地の言葉でビジネスをする機会が多いと思います。

世界中で話されている言語 ベスト10
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世界中で話されている言語 ベスト10

最近の日本人は内向性が強くなり、海外への関心が決して高くないという声も聞きます。しかし、ますますグローバル化が進む中、海外との関わりがなくなるようなことは今後も決してないでしょう。海外に96拠点を設ける双日は、国内での語学研修のほか、海外語学研修制度により研修生を派遣、さらに実務と語学研修を兼ね備えたトレーニーも常時派遣して外国語の習得に力を入れています。

今後、M&Aなどで企業のグローバル化がさらに加速すると予測されます。業種にかかわらず、国内で外国人を採用する企業も増えており、日本で働く外国人も目立ってきています。わが社も本社に17名の外国人社員がいます。今後は、海外駐在や出張だけでなく、グローバル人材戦略による海外からの幹部社員受け入れなど日本国内でも外国語能力や国際的なコミュニケーション力が求められるケースがますます増えていくでしょう。

一通りのビジネススキルを身につけたうえで、外国語が理解できればその国に飛び込んで日常生活を楽しむことができ、文化や歴史、人々のバックグラウンドも理解しやすくなると思います。駐在員ならば現地スタッフとのコミュニケーションも円滑になりますし、交渉の場面でも相手の真意をしっかりと理解して対応することができ、より有利になるでしょう。

海外の取引先の優秀な人材は、母国語という軸を持ちつつ、英語やほかの外国語を武器として使いこなしています。我々も日本人としてのアイデンティティをしっかり持ちながら、外国語を習得し、世界へ漕ぎ出す時代だと思います。

(中島 恵=構成 尾関裕士=撮影)