経済対策の目玉として打ち出された総額2兆円の定額給付金について、対象者の所得制限をどうするかだけでなく、その効果を疑問視する声がにわかに高まっている。しかし、経済対策のなかには投資や消費市場の拡大につながる可能性の高いものも含まれている。その1つが敷地面積に対する延べ床面積の割合である容積率の緩和で、このほど第一生命経済研究所がこれに関する興味深いレポートを発表した。

建て替え増加による経済効果
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建て替え増加による経済効果

現在、マンションなどの共同住宅で築30年以上ものが全国に約148.8万戸もあって、安全性の問題から建て直しが急務となっているが、その解決策として期待できるものが容積率の緩和だと指摘。そのうえで、仮に容積率が20%緩和されて、その上限まで建て替え、従来の延べ床面積を上回る分を新規の販売用に回せば、8.1万戸程度の新設着工に相当すると予想する。そして、これにともなう経済波及効果は約2.7兆円におよび、GDP(国内総生産)の押し上げ効果も約1.3兆円に達するものと見ている。

また、容積率が緩和されて供給される床面積が増えれば、床面積当たりの価格が下がり、その分だけ持ち家需要を喚起することになる。この点においても、新設着工戸数が0.4万戸ほど上乗せされるものと予測する。同研究所の永濱利廣主席エコノミストは「現在の日本には財政に依存しなくても十分に潜在的な需要が存在している分野がある。こうした構造改革と内需振興の両立を図ることが政府の大きな課題といえよう」と語る。