手取りがなかなか増えていかないという実感を持つ人は多いでしょう。例えば年収500万円の場合で比較すると、手取りは8年前から10万円減少している計算になります。その背景にある税金と社会保険料の負担増について、詳しくみていきます。

「税&社会保険」を総復習

こんにちは、家計コンサルタントの八ツ井慶子です。今回は「手取り収入」について考えてみましょう。

“働いたら働いただけ「給与」は増えるもの”と思われるかもしれませんが、「手取り収入」となると、少々話は別です。それは、「給与(額面)」から、税金や社会保険料が差し引かれるためです。

給与-(税金+社会保険料)=手取り収入

このとき、手取り収入のことを「可処分所得」と言ったりします。

この式からも分かるように、手取り収入が増える要因として、給与が増えること、税金・社会保険料が下がることの2つが挙げられます。しかし、近頃の税金や社会保険料は上がっているということは、多くの方がよくご存じでしょう。

では、どのくらい増えているのかイメージできるでしょうか。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/frema)

まず、税金、社会保険の中身を押さえておきましょう。税金は、所得税と住民税です。所得税は国税で、国に納めます。住民税は地方税。みなさんが1月1日時点の住所地である自治体に納めます。

ちなみに、住民税は“住んでいるところ”に納めるのが原則のため、納税先を選ぶことはできません。いわゆる「ふるさと納税」を利用することで、かつてお世話になった自治体や応援したい自治体に、実質的に納税することはできます。ただ同時に毎日お世話になっている自治体の税収は減ることを意味します。

よくよく思えば、日本という国も、“住んでいる”ということで選びようがないのですから、あえて地方を選ばなくても? なんて思ったりもするのですが、どうでしょう……。

ともあれ、続いて社会保険も確認しておきましょう。社会保険は、年金保険、医療保険、介護保険、雇用保険、労災保険を総称したものです。このうち、労災保険だけは従業員である加入者の保険料負担はありませんので(事業主の100%負担)、手取り収入にかかわるものとしては、それ以外の4つです。

社会保険料の上昇が顕著

税金も社会保険料も右肩上がり傾向ですが、ここ最近でいうと、社会保険料の上がり方が顕著です。

まずは、シミュ―ションを見ていただきましょう(図表1)。

家計は可処分所得が増えない時代に直面

表は、2009年度から2017年度までの各保険料率の推移と、この間の年収(額面)を一定とした場合に、手取り収入がどれほど変動したかを一覧にまとめたものです。

医療保険と介護保険に関しては、中小企業の方がおもに加入する協会けんぽの保険料率を用いています。みなさんの加入するところによって料率は異なりますので、ご了承ください。また、税金は家族構成などにより、試算結果が変わります。こちらもある“一家”を想定していますので、あわせてご了承ください。