消費者の財布の紐が堅くなり、経営難に苦しむ自営業者。手元にはめぼしい財産もなく、これからの生活を考えると、やはり保険は必要だ。

自営業夫婦には掛け金2万円以下の高齢者所得保障

先祖代々からの店は息子夫婦に任せ、自分たち夫婦は孫の面倒を見ながら悠々自適の隠居暮らしを楽しむ――。これが一昔前までの自営業の人たちのお決まりのライフプランだった。でも、いまでは“夢のまた夢”である。何せ外に出て周りを見渡せば、廃業した仲間の店ばかり。「ウチも店じまいしたほうがいいのかな」と、夫婦で額を合わせて相談することが多くなった。

そんなときに頭の中をよぎるのが、今後の生活のこと。年金といっても、サラリーマンと違って国民年金しか入っていないから、40年間納めても支給額は月6万6000円程度。「昔、ため込んだでしょ」と言われそうだが、バブルが弾けた後は商売も苦しく、蓄えは減る一方だ。自営業主の平均の金融資産保有高は970万円で、管理職の1804万円の約半分(金融広報中央委員会調べ)。「負け組」に転落しているのが実態なのだ。

本来、60歳ともなれば、子供が独立して遺族保障は考えなくて済むようになるので、「保険は不要」というのがセオリーだ。しかし、こと自営業に限っていえば、そのセオリーが当てはまらないことが少なくない。老体にムチを打ちながら現役で働き、日々の生活の糧を得ていかなくてはならない。そんな年老いた大黒柱の身の上に何かあると、残された妻は困窮した生活を強いられる。だから、保険で最低限のリスクヘッジをする必要があるのだ。

月2万円以下の保険料で、老妻の毎月の生活費15万~20万円をキープ
図を拡大
月2万円以下の保険料で、老妻の毎月の生活費15万~20万円をキープ

そこで入っておくべき保険として真っ先にあがってくるものが収入保障保険である。被保険者である夫が万が一死亡した場合、年金の形で毎月定期的な“収入”が受取人である妻に給付される掛け捨て型の保険だ。夫の死亡時に一時金の形で、年金を一括して受け取ることもできる。

さすがに60歳での加入となると、満期を10年や15年と短くしたいが、取り扱っている保険会社も限られてくる。そんな数少ない高齢者向けの収入保障保険の代表的なもので、毎月の保険料が2万円以下に抑えられるものを図に紹介した。年金月額は15万円ないしは20万円だが、妻1人の生活にそう支障はきたさないだろう。

ただし、10年満期に入ってすぐに夫が死亡し、それ以降の年金を一時金の形で受け取ろうとしても、まるまる「20万円×12カ月×10年=2400万円」にはならない。受け取った年金は雑所得として総合課税の対象となる。少なくとも15%程度は税金で取られると思っておこう。そのため、一時金で受け取ることが多くなる。受取額は年金で受け取る際に見込まれていた運用益分が割り引かれた金額となる。そのため「約2200万円」と少ない金額となっているのだ。

自営業の人で特に注意しておきたいのが、かんぽ生命の養老保険。旧郵政公社の時代から、店に出入りする顔なじみの職員がいて、「ぜひ入りましょう」と言われ、むげにも断れず、OKしてしまうことが多かったはず。なんとなく定期預金のつもりで入ってしまうことも、少なくなかっただろう。

しかし、これらは定期預金とは程遠いものなのだ。たとえば、60歳男性・10年満期・保険金500万円の普通養老保険だと、月の支払額は4万5350円。つまり、10年間の総支払額は544万2000円。満期で500万円手に入っても、大幅な元本割れだ。貯蓄目的なら素直に銀行に預けていたほうがましだ。やはり、保険加入で義理と人情は禁物と心得よう。