衣替えの季節になり、街には軽やかな服装が目立ちはじめた。ただ、アパレル市場は不況下での買い控えもあり、2008年から下降に転じている。それまで10兆円を維持していた総小売り市場規模が大台を割り込み、今年になってもその傾向は続いている。背景には、デフレ進行下での低価格帯商品の投入もあり、紳士・婦人用スーツも例外ではない。

紳士服・婦人服の小売市場規模推移
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紳士服・婦人服の小売市場規模推移

スーツの価格は、バブル期のブランド志向による高価格、それが崩壊した後の価格破壊と大きく変遷した。デパートで10万円超は当たり前だったものが、バブル崩壊後は一転しての価格破壊。1万円を切るスーツも登場して話題を呼んだことは、まだ記憶に新しい。ブームも一段落し、現在の男性スーツの平均購入価格は2万4000~2万6000円だという。

そうしたなか、オーダーメードの分野が元気だ。「ザ・スーパースーツストア」を全国展開するオンリーでは、02年より「3万8000円からお仕立て」を打ち出してきた。30代前後の比較的若いビジネスマンを中心に4万5000~4万6000円の価格帯が売れている。結果、同社売り上げの3割を占める戦略商品に成長しているという。

同社会長兼社長でマスターテイラーの中西浩一氏は「高いブランド品は良い、安ければ悪いという価値観は崩壊した。価格と品質がしっかりとマッチしたものでないと売れない。今後、景気が回復しても、この消費行動は変わらないだろう」と語る。その意味で、紳士・婦人服業界は過渡期に差し掛かっているといっていい。