日本のGDPの3分の1に相当する米国財政赤字

アメリカからの願いを受け入れるかどうかを決めるに際して、我々の大事な貯蓄が将来のドル安によって目減りしないことを保証してもらうことが重要である。その一つの方法は、麻生首相が言うように、「基軸通貨たるドルの信認を維持することが重要である」として、ドルの信認を維持し、その暴落を防ぐことである。しかし、このように日米の首脳が宣言したところで、マーケット・メカニズムが働いている為替市場においてドルの価値が維持されるとは限らない。

それでは、どうすべきか。「基軸通貨たるドルの信認を維持することが重要である」という宣言の裏で、ドルの信認が失墜しないように、アメリカ政府が発行する国債が売れ残らないように日本政府がそれを積極的に購入することを約束したのではないかと邪推してしまう。もし日本政府がアメリカの財政赤字額170兆円相当のアメリカ国債を全額購入する用意があれば、ドルの信認は失墜することなく、そして、その結果として大事な貯蓄が目減りすることはないであろう。しかし、170兆円という金額は日本のGDPの3分の1ほどに相当する。日本だけでアメリカの国債を全額購入することができないことは明々白々である。

そこで、豊富な貯蓄がある中国と手を組んで、日本政府と中国政府が協調して、アメリカの国債を購入することが考えられる。このように豊富な資金をアジアでかき集めたとしても、まだ残る問題がある。それは、為替差損や為替リスクである。