4月は進級・進学の季節。学校では子供たちの「ヒエラルキー(序列)」の組み替えが起こりやすい。いまや「教室内カースト」は、学校側も自明のものとして、クラス編成に配慮することがあるという。教育・子育てアドバイザー、鳥居りんこ氏は「子どもが序列の下位層になった場合、親の役割が重要になる」と訴える――。

教室内にある1軍、2軍、3軍、戦力外の序列

「スクールカースト」という言葉がある。

デジタル大辞泉の解説には「学校のクラス内で、勉強以外の能力や容姿などにより各人が格付けされ、階層が形成された状態。階層間の交流が分断され、上位の者が下位の者を軽んじる傾向があることから、いじめの背景の一つともみなされている。インドのカースト制になぞらえた語。学級階層」とある。

要するに「教室内ヒエラルキー」のことである。

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教室内のグループが1軍、2軍、3軍のような形にわけられ、いわば「イケてる子」が1軍、その認定から遠く離れると3軍という格付けになる。中には、そうした階層にすら入れてもらえない戦力外扱いの子どももいるらしい。

新年度が始まる4月は、子どもたちがもっともナーバスになる時期だ。進級・進学・クラス替えに伴う「教室デビュー」があるからだ。厄介なことに、このカースト序列は最初の1カ月間でほぼ決定し、よほどのことがないとその1年間は序列が変わらない。私が聞いている限り、いまの学校では「最下位層には入りたくない」と訴える子どもたちが少なくない。

加えて、教室には「キャラ強制圧力」なるものが存在し、それに違和感を覚えたとしても、一度、キャラが固定化された場合、「キャラ換え」は簡単にはできない。

こうした序列の存在とあいまって、一部の学校で気になる動きがある。最近、中学受験で「適性検査型入試」という思考力を問う選抜方法が増えてきたのだ。

学校はヒエラルキーができること踏まえクラス編成

今年、首都圏のある私立校では入試問題の課題として、受験生に「アクティブラーニング型」の授業を実施した。受験生を4人1組のグループにわけ、指定のテーマで討議させた後、グループ発表させるという内容だ。

この合否判定は、授業内容の理解度や、発表の論理性だけでなく、「この子はクラスのリーダーになれそう」「この子は協調性がある」というパーソナリティを判断したうえでなされるそうだ。

つまり入試の段階で、学校が「教室内の力学」を配慮しているわけだ。実際にほかの私立中学の教師も、クラス編成時に考慮すべきこととして、以下の5点をあげた。

1:各クラス内の生徒の成績がなるべく均一になるようにする
2:リーダー役(統率力がある人気者)になれそうな生徒を均等に配置する
3:配慮が必要な生徒が偏らないようにする
4:ピアノが弾ける生徒(合唱祭の伴奏者)を均等に配置する
5:過剰に仲良し、または不仲な生徒はクラスを分ける

このように学校側が生徒の「序列」を配慮して、クラス編成を行っていることが読み取れるが、教師側の思惑通りに進まないことも多いそうだ。

ある教師は「リーダーがいないとクラスの核を作れず、クラス運営に支障が出るから、事前にこういう調整を行っている」と教えてくれた。