自民党の二階俊博幹事長が小池百合子東京都知事に送ったラブコールで自民党内が大揺れに揺れている。都知事選は1年以上先だというのに、小池氏を「全面協力」すると発言した。小池氏と敵対する自民党東京都連はもちろん、自民党本部も仰天する発言だ。“寝業師”とも言われる二階氏の真意は何だったのか。そして、小池氏は勝てるのか――。
自民党の二階俊博幹事長との面談後、記者団の取材に応じる東京都の小池百合子知事=3月4日、東京・永田町の同党本部(写真=時事通信フォト)

突然のラブコールに「もう、幹事長ったら」

その発言が飛び出したのは3月4日だった。小池氏が自民党本部を訪れて二階氏を表敬。そもそもの目的は、東日本大震災の被災地の木を東京五輪、パラリンピックの関連施設に植樹できないか、という話。二階氏が小池氏に持ち掛けてきた。

小池氏は前向きに考える回答を伝えるとともに、中国と太いパイプを持つ二階氏に、上野動物園のパンダ・シャンシャンの貸与期間を延長できないか陳情。二階氏も協力を約束した。

そんな、実務的かつ平穏な会談を打ち破ったのが二階氏。来年の都知事選の話題を切り出して「出馬されるのならば全面的に協力する」と伝えた。

同席者によると、小池氏も突然のラブコールに驚いていたようで、しばし沈黙した後、「もう、幹事長ったら……」と苦笑したのだという。

二階氏は会談の後の記者会見でも「全面協力」発言を繰り返した。

ともに小沢一郎氏を「親」にもつ小池氏と二階氏

小池氏は日本新党、新進党、自由党、保守党などを経て自民党に入り、党役員や閣僚を歴任した。二階氏も新進党以降はほぼ同じ道をたどった。

党の広告塔のような存在だった小池氏と、裏での根回しを得意とする二階氏の接点は多いとは言えなかったが、2人が保守党にいるころから関係が深くなっていった。保守党は、自由党党首だった小沢一郎氏が自民党との連立解消に踏み切った時、小沢氏と決別し、連立にとどまると決断した議員がつくった政党だ。

小沢氏という「親」から離れ、2人が政治家として1本立ちした時期だ。表の顔・小池氏と裏の顔・二階氏。互いに違う資質を持った者同士、リスペクトしあうようになったのだろう。