『ぼくと1ルピーの神様』ヴィカス・スワラップ著 ランダムハウス講談社

昨年度アカデミー賞を受賞した『スラムドッグ$ミリオネア』の原作本。映画と小説ではストーリーが異なるが、“インドらしさ”を味わうのに最適な本だ。

インドでは、高級車に乗り、豪邸に住む非常に豊かな人々とスラム街で生活するような貧しい人々が混在している。登場人物であるクイズショーの司会者は、生活レベルは高いが心は美しくない。逆に、主人公トーマスのように貧しくても、温かい心を持つ人はいる。その対比が、非常にうまく描かれている。

今やインドは、遠い国ではない。スズキやドコモのように、現地で成功する企業も出てきた。インドでビジネスを展開するうえで、その現状やインド人の心を理解するにも適している。