「個食化」対応を目指しプロジェクトを結成

06年9月に発売した食べきりサイズの煮豆「やわふく」。開発から1年という短期間で商品化した。
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06年9月に発売した食べきりサイズの煮豆「やわふく」。開発から1年という短期間で商品化した。

ここに「やわふく」というヒット商品がある。「ふじっ子煮」でお馴染みのフジッコが昨年9月に売り出した、パック入り煮豆だ。「やわふく」は発売当初から大好評を博し、発売月からいきなり目標の1割増しの60万個を出荷している。増産したくとも、工場の能力が追いつかないほどの売れ行きである。「やわふく」はなぜ売れるのか、その秘密を探ってみた。

ご存じフジッコの主力商品「おまめさん」(煮豆)は、発売30周年を超えるロングセラーである。だが、実は、煮豆市場は1998年頃から長期的なダウントレンドに突入。2000年に約5400円だった100世帯あたり購入金額が、05年には約4700円に減少していた。

そこでフジッコは05年、東西2000人の消費者を対象とした、「袋入り煮豆」に対する市場調査を行っている。調査の結果、袋入り煮豆に対する不満は、以下の2点に集約されることがわかった。

○賞味期限までに食べきれない
○袋のまま保存できない

また、「これまで煮豆を食べていたのに食べなくなってしまった」理由を調査してみると、「一人暮らしになったから」「夫婦ふたりきりになったから」という理由が背後に隠れていることがわかった。家族形態の変化を契機として、“煮豆離れ”を起こしてしまうのだ。

つまり、内容量が平均で160グラムある家族向け商品の「おまめさん」は、個食化が進んだ時代に合致しない商品になっていたわけだ。

こうした調査結果を踏まえ、05年9月、フジッコは会長の肝煎りで煮豆の新商品開発プロジェクトを発足させる。新商品開発の基本コンセプトは以下の3点である。

食べきれる量目
食べやすい容器
そのまま食卓に置ける

このコンセプトにのっとって商品開発を進めていったが、一番の障壁となったのはコストの問題だった。個食化に対応するには、ビニール袋入りから皿に移さずにすむプラスティック容器入りへの変更が不可欠だったが、製造コストが2倍以上かかってしまうのだ。マーケティング企画部係長の徳永憲彦は言う。

「煮豆はあくまでも副菜ですから、主菜にもう1品追加すると考えた場合、1カップ100円を超えてしまうと厳しい。従来のようにコストを積み上げて価格を決定するやり方では、消費者に受け入れられないことは明らかでした」