米国の証券大手リーマン・ブラザーズが経営破綻した2008年9月以降、フランスでは金庫の売れ行きが急増している。相次ぐ銀行の閉鎖で、「とりあえず自宅に現金を置いておこう」と考える人が増えたらしい。資産を保管するために、テンキーで開閉する電子錠付きの金庫が人気を集めているそうだ。

では、目を日本に転じるとどうだろう。経済産業省の「生産動態統計」によると、ここ数年、年間出荷数量は15万~20万台、販売金額だと80億円前後で推移している。このような漸減傾向は、08年になっても続いており、季節変動はあるものの、単月ベースでは1万2000台をはさんだ一進一退の状況である。

落ち込んでいた耐火金庫の出荷台数
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落ち込んでいた耐火金庫の出荷台数

こうした市場動向について、金庫の専門メーカーであるエーコーの中村胎三社長は「落ち込みの原因は、数年前から顕著になったオフィス需要の減退。半面、店舗用は伸び、家庭用は横ばい」と話す。その背景には、日本のセキュリティ上の変化がある。新しいビルはオートロック等が完備し、防犯上のニーズは低い。一方、店舗や家庭は、不景気になると窃盗犯が増え、金庫の役割が見直されるのだという。

実際、景気後退が明らかになった08年8月からは単月の出荷台数がわずかながら上向いた。売れ筋は、高さ60cm、重さ10kg以下の店舗・一般家庭用の小型のもので、小売価格は8万~9万円ほど。中村社長も「08年は16万台、09年は20万台を突破するだろう」と予測する。どうやらここに来て、業界にフォローの風が吹いてきたようだ。