“血液のガン”と呼ばれる「白血病」は、どの年代にも、そして性差なく発症する。最近は高齢化社会を反映して高齢の患者も増えている。

また、白血病イコール“不治の病”とイメージする人が多い。女優の夏目雅子さんや歌手の本田美奈子さんたちは白血病で急逝した。しかし、現在、治療法は日々進歩し、治る患者も増えている。俳優の渡辺謙さん、歌舞伎の市川団十郎さんたちがそうである。

その白血病は血液細胞のもとである造血前駆細胞がガン化し、白血病細胞がどんどん誕生。そして、正常な細胞が作られなくなってしまう。

血液は骨髄で作られており、血液のもとになっているのが「造血幹細胞」。血液は血漿成分と血球で構成されている。血球には赤血球、白血球、血小板などがあり、造血幹細胞が分裂して分化成熟しながら血液細胞となって血管へと流れていく。

白血病は完成した血液細胞とはならず、途中の段階でガン化するのである。白血病細胞がどの分化成熟段階でガン化したか、また、その種類によって、大きく以下の4つに分けられている。「急性骨髄性白血病(AML)」「急性リンパ性白血病(ALL)」「慢性骨髄性白血病(CML)」「慢性リンパ性白血病(CLL)」である。

急性の場合は血液異常が起きて症状がでるまでに、わずか1~2カ月程度。症状に気付いて医療機関を受診し、血液検査で白血球数等に異常があって発見されるのが一般的だが、まれに健診で発見されるという偶然もある。

その症状は、「体がだるい」「めまいがする」「動悸がする」「疲れやすい」などの貧血症状である。正常な造血が抑えられてしまうことが原因だ。加えて、血小板が減少するので出血症状も――。主に小さな点状出血を生じてくることが多く、それは何の誘因もないケースがよくある。重症になると、脳内出血などを起こすこともある。

一方、慢性白血病の場合は健診で「白血球が多い」などを指摘されて発見される。

検査は「血液検査」と「骨髄検査」。これで白血病の有無とタイプの診断がつく。

日本人の成人に最も多いのはAML。治療前に行う「染色体検査」などで病型の分類が行われ、「予後良好」「中間」「予後不良」の3群にも分けられる。

治療は完全寛解を目指す「寛解導入療法」が行われる。基本的には抗ガン剤を使った化学療法。通常は2種類の抗ガン剤が使われる。

ただし、AMLの中の「急性前骨髄球性白血病」の場合は、ビタミンA誘導体のレチノイン酸、「ベサノイド」という内服薬を服用するだけで患者の90%は完全寛解になるという。

完全寛解にいたると、さらにAMLの予後良好群では抗ガン剤を大量に使って、その上を目指す。

同じAMLでも予後不良群は寛解導入法だけでは70~80%の方々が再発してしまう。そこで必要となるのが「造血幹細胞移植」である。それには3つの方法がある。

骨髄移植……ドナーの骨髄から造血幹細胞を採って患者に移植する。
 ●末梢血幹細胞移植……ドナー、または患者自身に白血球を増やす「G-CSF」を皮下注射し、数日後に血管に流出してきた造血幹細胞を採り、患者に移植する。
 ●臍帯血移植……造血幹細胞が多く含まれている新生児の臍帯から造血幹細胞を採って患者に移植する。

どの治療を選択するかについては、主治医と十分に話し合うのが重要である。

【生活習慣のワンポイント】

放射線被曝については白血病発症の原因となりうることはわかっている。それ以外に生活習慣で考えられることはなく、免疫力がアップする規則正しい生活が大事ということになるだろう。