不動産を「負の遺産」ではなく「優良な資産」にするためには、どうすればいいのか。専門家に話を聞いた。第1回は「初めての購入編」――。(全4回)

※本稿は、「プレジデント」(2018年12月3日号)の掲載記事を再編集したものです。

人生で一番大きな買い物と言われるマイホーム。首都圏では住宅価格が上昇する一方、郊外や地方は空き家が増え始めている。自然災害も多発し、被害に遭う家をよく目にする。こんな時代に、どのように家を選んだらよいのか。損しない初めての住宅選びについて専門家に話を伺った。

どんな間取りが長く住めるか

結婚した、子どもが生まれた。「マイホームを買おうかな」という気になるのは、こんな幸せいっぱいのときだ。しかし、いざ住み始めてから「家選びに失敗した」「ローンを組む前にもっとよく考えればよかった」と後悔する人が後を絶たない。

損しない・後悔しないマイホーム選びのエッセンスとは?(Getty Images=写真)

特によくあるのが、子どもが生まれ、これから子ども部屋が必要になると考え、狭くてもいいからと3LDKを買ってしまうケースである。

「ちょっと待ってください。家族の人数が最も多いときに合わせて家を買うのはやめたほうがいい」

と言うのは宅地建物取引士、マンション管理士、ファイナンシャルプランナーの四宮朱美氏だ。

「子育てしている期間は案外短いもの。子どもが本当に自分の個室をほしがるのは10代に入ってから。20歳前後で出ていくとしたら、子ども部屋が必要なのはせいぜい10年。その10年間のために30年以上もローンを払うのは慎重に考えたほうがよい」

家族の人数の変動に対応しやすい、可変性のある間取りを選ぶという手もあり、四宮氏は「狭い3LDKより広い2LDKがいい」と言う。子どもがいるあいだは、広い部屋を家具などで仕切り、子どもが独立したら仕切りを外して広々と部屋を利用するなど、空間を有効活用するのだ。

ところで、そもそも賃貸と持ち家はどちらがお得なのだろうか。四宮氏は「購入したほうがよい」と断言する。

「私は20代のときに最初のマンションを購入しましたが、住宅は早く買えばそれだけ早くローンを返し終わります。それに同じ期間、同じ金額を払っても、賃貸は何も残らない。でも購入した場合は、不動産という資産が残ります」

家を購入すると、住宅ローンを利用する人がほとんどだろう。しかし、何十年も払い続けることにリスクはないだろうか。家の住宅ローンの専門家、公認会計士の千日太郎氏は、次のように解説する。

「住宅ローンを組む際に加入する団体信用保険があります。一家の稼ぎ手がローンを完済する前に亡くなったり、重度の障害が残ったりした場合には、残りのローンの支払いが免除されます。ただ、病気などのリスクが高くなる頃には、ローン残高は少なくなっているため、心配のあまり保険の特約を付けすぎて、家計を圧迫しないようにしましょう」