年の瀬は「忘年会」のシーズンだ。忘年会にはどんな「大人力」が必要なのか。コラムニストの石原壮一郎さんは「会社がらみの宴会には無数の“落とし穴”があります。宴会を制するものは仕事や人間関係を制すると言っても過言ではありません」という。宴会時に自分の株を上げる・下げる言動とは――。
※写真はイメージです(写真=iStock.com/hironakajima)

忘年会で「今日は無礼講だー」を信じる人は残念すぎる

忘年会シーズン真っ只中。とくに会社がらみの宴会には、さまざまな困難や無数の落とし穴が待ち構えています。難易度の高いシチュエーションをテーマに、5つの検定問題をご用意しました。「大人の宴会力」を鍛えて、2018年を華麗に無難に締めくくりましょう。

【問1】

部の忘年会も宴たけなわ。隣りに座った部長が「今日は無礼講だ。私について思っていることを聞かせてくれ」と、面倒なことを言い出した。望ましいリアクションはどれ?

(1)「部長には尊敬の気持ちしかないので、思っていることなんてなにも……」
(2)「せっかくなので申し上げますが、部長のやり方はいささか時代遅れかと」
(3)「あの社長にあそこまで率直に意見できるのは、いい度胸だなと思います」

答(1)1点 (2)0点 (3)5点
【解説】

ご承知のとおり、会社の飲み会で本当の「無礼講」は存在しないし、わざわざ「今日は無礼講だ」と言い出す上司ほど部下の失礼な発言を根に持ちます。

(2)のように相手にとって耳が痛い本音をぶつけたら、来年の会社生活は極めてつらいものになるでしょう。ただ、当たり障りがない(1)だと、自分のせっかくの配慮を無にされたように感じてしまいます。

ここは(3)のように、率直な物言いだけど言われた部長も悪い気はしない線を突くのが、大人としての絶妙のコントロール。本当の意味で「仕事ができるビジネスパーソン」とは、たぶんこういう対応ができる人のことです。

忘年会に“嫌々参加”なのが見え見えな若い社員にかける言葉

【問2】

あなたは30歳の中堅社員。日頃から対人関係に難がある新入社員が、忘年会の席でも露骨につまらなさそうな顔でポツンと座っている。先輩として、そんな彼をどう扱うか?

(1)「おいおい、お通夜じゃないんだからさ」と冷やかす
(2)「群れない自分に酔ってんじゃねえよ!」と叱責する
(3)たぶん何を言っても無駄なので、そのまま放置する

答(1)5点 (2)0点 (3)2点
【解説】

とある調査(※1)では、会社の忘年会に対して4割強の人が「参加したくない」もしくは「どちらかというと参加したくない」と答えました。

まあそんなもんでしょうけど、実際の忘年会の場で露骨につまらなさそうな顔をするのは、極めて子どもじみた身勝手で迷惑な態度と言えるでしょう。(3)は無難ではあるものの、心にモヤモヤやイライラが残りそうです。

ここは(1)ぐらいのことを言って、「いちおうやるだけのことはやった」と思ったほうが気が楽です。本当に言ってやりたいのは(2)のセリフですけど、図星を突かれた相手に本気で反発されそうだし、そこまで親切に対峙してやる義理はありません。

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