工業情報化部は、計画が完了する20年までに電気自動車とプラグイン・ハイブリッド車合わせて500万台が中国の道路を走り、中国の自動車メーカーによるガソリン・電気併用のハイブリッド車の生産・販売台数は、年300万台になると想定している。

これらの政策は、現在時点では全く草案の段階であるものの、関連省庁や中国の国営自動車メーカー各社に回覧されているのが現状だ。

実は、大きな異議が出なければ、これらの政策は去年の10月にも導入される見込みだったが、中国の外資系自動車メーカーからの批判が噴出し、今なお「草案」として回覧の状態のままになっているのだ。そして、現在、実施の目処はついていない。ちなみに、同件については工業情報化部はなにもコメントを出していない。

しかし、重慶の国有企業である重慶長安汽車の張宝林社長は、昨年度、「数十年後には、中国は、自動車技術で追う立場からリードする立場に変わる。新エネルギーの自動車分野では、われわれに多くの機会があるだろう」と述べている。

この計画の一番の問題点は、外国自動車メーカーが、新型リチウムイオン電池や高出力電気モーターなどの電気自動車の部品を中国で製造する場合、中国企業と合弁会社を設立しなければならないとしていることである。

しかも、外資が合弁に出資できる比率を最高で49%とし、出資比率の過半と実質的な支配を中国側に譲り渡す内容となっている。ちなみに現在、ガソリン車の合弁事業で、中国企業と外資企業の出資比率は、50%ずつとなっている場合が大半だ。

もちろん、50%以下の出資率でも、合弁会社に外資メーカーが移転した技術の知財権は、その技術を開発した外資メーカーにあり、そこには何のリスクも存在しないと想定できる。しかしながら問題となるのは、もしその合弁会社が獲得した技術に改良や改善を加えた場合である。

※すべて雑誌掲載当時

(AFLO=写真)