逆にタブーもある。例えば悪漢キャラは商品化していない。ガールズトイ事業部キャラクターチーム・マネージャーの村瀬和絵氏によると、「(悪漢キャラは)男の子の場合は商売になるんですけれど。ウルトラマンの怪獣とか、ガンダムの敵方のロボットスーツなどはあります」とのことだが、女の子向けのものはつくっていない。これは当然といえば当然だ。3歳から6歳ぐらいの少女は、やはり悪に毒されずに育ってほしいと考えるのが正直な親心だからだ。

少子化が影響してのことだろうが、今日の親の子どもに対する「こだわり」はハンパではない。上記の商品特性に対する判定・配慮もそうだが、かけているコストもばかにならない。「変身香水」として出されているココロパフュームは、標準小売価格が3465円する。また、なでたり握手したりして世話をするとしゃべる言葉が増える育成型ぬいぐるみの「シプレ&コフレ」は6195円だ。同社の販売ボリュームゾーンは3000円台という。

自分の愛娘には本物の良いものを買い与えたいという親心を明確に読み取ることができる。今回のケースに、デフレ不況を吹き飛ばす高付加価値型マーケティングの真髄を見た思いがした。