このような判断から登場人物の刷新を断行したのだが、結果は裏目となり、視聴者からは大ブーイングを受け、グッズ販売も約60億円へとおよそ半分まで落ち込んでしまった。このときにはさすがに危機感にかられ、4年目に継続することに対して侃々諤々の議論があったという。

そしてなんとか「もう1年やってみましょう」となったときに、コラボレーションの重要性を痛感したそうだ。プリキュアに関係していた玩具メーカー、雑誌社、音楽メーカーが危機感を共有し、なんとかしなければいけないということで「番組制作委員会」的なものの組織化に動いたというのだ。「製作委員会」というのは多大なコストのかかる映画では一般に見られる方式だが、TV番組では存在しない。この初の試みには、上記の関連各社に集まってもらい意見を出し合った。最初は「この商品がこのぐらい売れました」といった数字の報告会のようなものだったそうだが、次第に「ああ、じゃあ、その戦略こっちでもやってもいいですよ。そのかわり、これをちょっと入れてもらえます?」といった感じで、実質的なコラボが進んでいったという。

ヒットの鍵は「本物志向」と「お母さんの視点」

メーン・スポンサーであり、大切なコラボの相手であるバンダイの取り組みについても言及しておきたい。

同社では、東映アニメーションとは週に1回という高頻度で、打ち合わせを行っている。その場では「テーマはこんな感じでいきたいです」と提案したり、逆に東映アニメーションの側から、「ツールはもうちょっとこうしたらどうですか」といったアドバイスが出たりするそうだ。7年にわたって共に仕事をしてきているので、ガールズトイ事業部キャラクターチーム・サブリーダーの片野良太氏によると、「社内の人より、社内っぽいという感じになっている」という。