ご機嫌な心の状態を、いつでもどこでも自分でつくるための方法がある。超実践的なスキルを紹介しよう。

「行動のルーティン」に頼ってはいけない

「人間は脳と心の生き物です」──私のメンタルトレーニングは、これを理解してもらうことから始まります。脳は「思考」の中枢です。心は、あなたの今の「状態」です。心の状態は「不機嫌」な方向へ向かうか、「ご機嫌」な方向へ向かうか、この2つのどちらかしかありません。

写真=iStock.com/AzmanL

不機嫌なときにはイライラしたり、落ち込んだり、ストレスがかかっています。そこで多くの人が考える解決方法といえば、ある行動を取ることで気分を変えること。酒を飲む、たばこを吸う、風呂に入るなどといった「行動のルーティン」に頼るわけです。

しかし、勤務中に飲酒をしたり、風呂に入ったりはできません。対処法としての限界があるわけです。

いつでもどこでも実践できる「思考のルーティン」

なぜ、人間が行動のルーティンに頼りたがるのかといえば、意識しない限り脳は「環境」「出来事」「他人」に関する情報を収集し、行動の内容を考え続けるからです。

たとえば、雨が降ったら傘を差す、締め切りが迫っているから徹夜で仕事をするといった具合に。中には「この商品がヒットすれば」などと“結果”によってご機嫌がもたらされると考える人もいるでしょう。しかし、結果が出るまではストレスが溜まるばかりで心の状態は悪化します。また、いい結果が得られてご機嫌になっても、それは一過性のもので持続しません。

対して、いつでもどこでも実践できるのが「思考のルーティン」です。これによってご機嫌な状態をつくり出す脳のスキルを私は「ライフスキル」と呼んでいます。ライフスキルは従来の脳とは異なる新しい脳の使い方をするので「第2の脳」と言えます。最初にすべきは「機嫌がいいことの価値を考える」こと。これを徹底的にトレーニングしてください。