話題の新刊もなければ、売れ筋の本も置いていない

本はもっぱらネットで購入している……。そんな話をよく耳にするけれど、それだけではもったいない。最近、本屋がますますおもしろいことになっている。2018年に入って都心部に立て続けにオープンした新店は、わざわざ足を運びたくなる、新しいカタチの本屋ぞろいなのだ。

18年3月に開業した商業施設・東京ミッドタウン日比谷内に誕生したのは、「ヒビヤ セントラル マーケット」。書店チェーン「有隣堂」が、さまざまなショップのプロデュースなどを行うクリエーティブディレクター・南貴之氏と組んで手がけた店舗だ。

本屋がある小さな商店街のような空間
ヒビヤ セントラル マーケット
【DATA】東京都千代田区有楽町1-1-2 東京ミッドタウン日比谷3階 電話 03-6205-7894
(営)11:00~21:00(飲食スペースは、~22:00L.O.) (休)ビルの定休日に準ずる
1.フロア内に洋服店や眼鏡店などを組み込んだ複合型店舗。左奥は理容室。月に1度、女性向けの顔そりを行う。2.地方のバスターミナルをイメージした売店では、漫画や雑誌のほか、コーヒーや焼き菓子も買える。3.器も販売。4.居酒屋「一角」で、書架を眺めながらのんびりビールを。
▼おすすめの一冊
『始めよう。瞑想』(宝彩有菜/光文社)。初心者にわかりやすく説いた瞑想法を紹介。瞑想は心を整える“科学”であり、気分が落ちたとき、体調がすぐれないとき、能力アップしたいときにも効果があることが学べる。ストレスの多い生活を送っている人の処方箋となる一冊。

「南さんの“今までにない店をつくろう”という考えを形にした店です。書店だと思って来ていただくと、かなり斬新な売り場だと感じてもらえるはずです」

店長の渡邉郁さんがそう言うだけあって、これが書店!? と目を疑うような空間。格調高い本棚と並列してハイセンスな洋服や器などの雑貨類が並び、その本棚を囲むように理容室や居酒屋まであり、フロア全体がまるで小さな街のよう。

しかも、チェーンの書店であるにもかかわらず、話題の新刊もなければ売れ筋の本も置いていない。本棚に並ぶのは、有隣堂の専務を筆頭に、店づくりに関わったクリエーターたちが選んだ洋書や専門書などだ。今後、選者が入れ替わる棚もあるというから、時折チェックしに立ち寄る価値がある。