土地所有にこだわらなければゆとりの生活が手に入る

定期借地権はもともと、バブル時に土地高騰で住宅が買いにくくなってしまった事態を打開するため、新しい借地借家法により1991年に設定されたもの。借りることで土地代を不要にし、住宅価格を下げようというわけだ。

また、旧来の借地権では借地人の権利が強く、地主側から契約更新を拒絶するのが非常に難しかったため、それが地主に土地を貸すことをためらわせるなど、土地利用の硬直化につながっていたが、その打開の意味もあった。

ただ、その後、バブル崩壊で住宅価格が下落。定期借地権を利用しなくとも住宅を購入できる状態が続いたため、一般的にならなかった事情がある。

しかし、2007年以降の住宅価格再上昇で再び定期借地権に注目が集まり始めている。特にそのメリットを世に認識させる契機となったのは品川で08年8月に分譲された70年の定期借地権付きタワーマンション。東京都が地主ということもあり、価格は相場より極めて安く、なかには378倍という倍率になった住戸もあったほどだ。

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このように、定期借地権付き物件のメリットは地価の高い都心部のマンションで最も生きる。所有権では手が届かなくても、定期借地権になれば購入可能ということがありうるのだ。また、安く買った分、経済的なゆとりを手に入れられるので、それを子どもの教育に充てたり、旅行や趣味などに使い、暮らしそのものを楽しむこともできる。

都心のマンション以外では、郊外で広い土地のある一戸建ても狙い目だ。首都圏近郊でいえば、つくばエクスプレス沿線の茨城県内エリアだろう。通常の分譲住宅地では40~70坪が一般的だが、定期借地権を利用すれば100坪、200坪も夢ではない。これだけの広さがあれば平屋の一戸建てを建て、残りは菜園にするといった暮らしも十分実現できるだろう。

ただ、定期借地権の場合、借地人が亡くなった後、残存期間があればその期間だけは相続できるが、当初契約した期間が終わったら建物を取り壊して土地を返却することになる。子どもに土地を残すわけにはいかないのだ。定期借地権物件購入者には所有権物件購入者より高学歴で「子どもに残すなら土地よりも教育」と考えている人が多いというが、この価値観に共鳴できるかどうかが、定期借地権利用の向き不向きの判断基準といえるかもしれない。

基本的に一般定期借地権は借地期間が50年以上と定められており、50歳を過ぎてからの購入であれば、期間満了後の心配は不要のはず。返却が条件でも、契約期間満了後は賃貸として利用できる可能性もなくもない。もし更地にして返却ということになっても、契約時に地主に預けた保証金が契約満了時に返還される(ただし無利子)ので、それを充てられる。

購入時に注意したいのはローン以外に地代の負担があること。額は場所にもよるが、首都圏で平均3万1465円(国土交通省の平成19年度全国定期借地権付住宅の供給実績調査)といったところ。値上がりもありうるのでその点にも注意が必要だ。また、定期借地権は所有権同様、売買できるが、所有権よりは当然安くなるし、残存期間が減るにつれ、大幅に価格が落ちる。

物件情報については定期借地権推進協議会内の物件情報コーナー、東京都都市整備局のホームページなどを参考にするといいだろう。