グーグル型フラット組織と日本型との違い

一方、日本企業の場合、対話では傾聴の精神で他の意見を吸収しながら融合する過程を辿ります。そのため話し合いは曖昧さを多く含むこととなりディべート型にはならず、現場が正しい意思決定をしているとは限りません。

つまりフラット組織とは、個人の主張を強く打ち出せる従業員が互いの意見を対話によって競い合い、トップダウンに頼らずともメンバーだけで最良の判断が下せるため、階層がいらない状態を意味します。

そもそも前提として、日本人の多くは欧米人のように「まず個人を尊重し、他との違い(個性)を明確に打ち出す」という個人主義ではない。個人主義型組織では指揮命令はリーダーのトップダウンによるため、最初から意思決定プロセスと場のあり方が日本企業とは大きく異なっているのです。

(2)“狭く深い”専門性の高さ

 またフラット組織の運営では、職種ごとに高パフォーマンスが求められます。高い専門性と強い個性を備え持つプロフェッショナルのプロジェクトでは、各個人の業務遂行レベルが一定基準に揃えられ、職務分担が個人ごとに細分化されています。プロジェクトマネジメントの進捗管理では、各担当者同士の横の連携がなくても個別業務は仕様通りに仕上がります。そのため一部分で進行を妨げた担当者がいたら、手厳しく評価されメンバー除籍などの制裁を受けます。その視点で、日本企業が得意とする“広く浅い”専門性を生かした「文殊の知恵」プロジェクトでは、横の連携なくして個別に業務遂行することはむずかしいでしょう。

以上から、日本企業がグーグル化するためには、従業員個人の特性や行動パターンの中身を大幅に変えることが求められます。

(1)まず自身の考えを理論的に説明し相手の意見を的確に理解し返すなど、議論から結論を導く対話力を磨くこと

(2)次に職種別の専門性を狭く深く高めることによって個人の職務遂行能力を上げること

この2点がチームとして同水準になれば合理的なフラット組織を営むことが可能になると思います。単純に日本企業に導入をしますと職務個別化が進み自己完結が多くなるため、組織力で培ってきた「日本の強み」を同時に失うことになります。そのため、従業員には理論思考を伴った対話力、修士レベルの専門知識など、個別運用のための能力スキルを自己研鑽してもらい、チーム力を結集し職場で実践することによって学習効果を高め、全体としてレベルアップが図れます。