仕事や私生活での「モヤモヤ」を、識者が解決する「プレジデントウーマン」の好評連載。今回の回答者はクレディセゾン代表取締役社長の林野宏さんです。

【今回のご相談】
契約社員の男の先輩のことで困っています。最初は親切に仕事を教えてくれたのですが、私の夫が某社(地元では有名)の正社員だという情報が同僚の女性を通じて彼の耳に入ってから、「旦那が稼いでるんだから、フルタイムで働く必要ないだろ?」など、何かにつけて嫌みを言うように。私は実家への仕送りが必要で、家計は決してラクではないのですが……。[36歳・機械・六花]

弱いと思っていた後輩に“逆転”された気持ち

機械関係のお仕事ということですが、契約社員ということは、工場などの現場で働いている方でしょうか。製造業では今、契約社員やパートタイマーなど、非正規の労働者が現場を支えていますが、「将来設計が立てられない」「正社員と同じ仕事をしているのに待遇に差がある」と、多くの人が不満を抱いています。男性は、女性にくらべて階級や肩書に敏感なので、こういう職場ではとりわけコンプレックスを抱きやすいものです。

林野 宏●1942年、京都府生まれ。埼玉大学文理学部を卒業後、西武百貨店(現そごう・西武)入社。82年、西武クレジット(現クレディセゾン)に転籍し、2000年6月より代表取締役社長に就任。

ある日、女性の後輩がきたので、親切に仕事を教えていたら、彼女には有名企業の正社員の夫がいるらしい。なんだ、おれよりも恵まれてるじゃないか――。自分より弱いと思っていた後輩に“逆転”されたような気持ち、あるいは「夫が正社員なら、契約社員の自分を見下しているはずだ」と被害妄想めいた感情も抱いたかもしれません。

こうなる展開をまったく想像していなかったとしたら、あなた自身も無防備だったと思います。女性同士だからと油断して、同僚から聞かれるままにご主人の話をしたのかもしれませんが、あなたにそのつもりがなくても、彼女は「自慢をされた」と受け止め、周囲に言いふらしてしまったのかもしれない。

しかし、いくら言い訳をしたところで、先輩があなたに抱いてしまったコンプレックスは、そう簡単には消えないでしょう。居心地が悪くて耐えられないなら、いっそ辞めてしまうという選択もありますが、転職して今より条件が悪くなるようなら、踏みとどまることをおすすめします。