“特殊な別居”をする夫婦が増えているという。行政書士で男女問題研究家の露木幸彦氏によれば、「同居する義父母や夫などとの関係が何らかの理由で壊れた妻が、家の近くにセカンドハウス(賃貸住宅)を借り、そこで寝泊まりしつつ、定期的に夫の家を訪ねて家事などをするケースが多い」という。なぜ妻たちは、完全な別居ではなく、そうした中途半端な別居を選ぶのか――。(第1回、全3回)

増えている「セカンドハウス通い妻」とは何か?

最近、特殊な別居をする夫婦が増えています。

通常、「別居」とは夫婦が衣食住を別にして暮らすこと。例えば、こんなケースがあります。

・関係がこじれた夫婦が距離を置くため、どちらかが一時的に実家へ戻る。
・仲たがいはしていないが、自分の生活を変えたくない夫婦が別の家で暮らす。
・伴侶の暴力(DV)に耐えかねて、シェルターへ逃げ込む。

しかし、今回紹介する「セカンドハウス通い妻」はそのどれにも該当しません。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/imtmphoto)

夫婦はワケあって別居しています。妻はもともと夫と住んでいた家の近くにセカンドハウスを借り、そこに寝泊まりします。ただし、定期的に夫の家を訪ね、食事作り、部屋の掃除、洗濯します。場合によっては、義理の両親の世話もします。それらの仕事が終了すると、またセカンドハウスに戻ります。そんな不思議な生活です。

これから紹介する3つのケースの場合、夫の家を訪れる頻度は、「平日の昼間だけ」「週2~3日だけ」などバリエーションがあります。また、妻が借りるセカンドハウスの家賃の支払いは「妻が負担」「夫が負担」のどちらもあります。ただ、3ケースとも「夫は、妻が住むセカンドハウスには立入禁止」になっています。

なぜ、妻はセカンドハウスに住むようになったのでしょうか。精神的、身体的、そして金銭的に追い詰められたのでしょうか。新しい家族の形なのでしょうか。ひとつずつ見ていきましょう。

▼姑との6年間の同居生活で心身はボロボロ
【ケース1 長野真由美さん(38歳・仮名)】
「義母は無神経すぎる。私と別れたくないなら部屋を借りてよ」
A.結婚期間⇒6年
B.セカンドハウスを借りるきっかけ⇒同居中の義母の嫁いびりが酷すぎて過呼吸を発症
C.夫の同意の有無⇒あり
D.セカンドハウスの賃貸契約者⇒夫
E.セカンドハウスの家賃負担⇒夫
F.妻が寝泊まりする場所⇒自宅
G.夫からの生活費⇒あり