異例の早さで梅雨明け宣言が発表された2018年、今年も夏本番を迎えいよいよビールが最高にうまい季節がやって来た。ビールメーカー大手各社の販促活動は白熱し、そこに近年人気のクラフトビールなども加わってかつてない様相の“夏の陣”が繰り広げられている。その中で好調な売れ行きを見せるのがサントリーの「ザ・プレミアム・モルツ」。秘密は「泡」にあった。

「泡」を押し出した異例のプロモーションが奏功

漆黒の背景と上品なコントラストを成す琥珀色の液体、そこにこんもりとクリーミーに注がれた贅沢な泡。テレビやインターネット、あるいは飲食店に掲げられたポスターでこんなビジュアルを目にしたことはないだろうか。見た瞬間にゴクリと喉が鳴るほどうまそうなビジュアルは、サントリー「ザ・プレミアム・モルツ」の“神泡”プロモーションのものである。

黒、琥珀色、白という上品なコントラストが目を引く神泡プロモーションのビジュアル。

この“神泡”プロモーションとは、サントリーが今年から実施しているもので、同社によれば、“神泡”とは“こだわりの注ぎ方”によって実現した「ザ・プレミアム・モルツ」ならではの“クリーミーな泡”のこと。ビール特有の価値である「泡」に着目し、素材、製法、そして注ぎ方までをも徹底的に追求したものだという。

従来、ビールのうまさの訴求といえば、のどごしやコク、キレといったものが大半だったが、その常識的な発想から脱して「泡」を全面に打ち出した3月のプロモーションが功を奏し、ザ・プレミアム・モルツ缶の2018年第二四半期は、前年同期比108%(※1)と売り上げを伸ばした。同期間のビール市場が1割程度減と推定されることを考慮すれば、目を疑うような伸長率である。

実際に神泡を体感した消費者からは「泡がクリーミーでうまい」「泡がきめ細かくて長続きするのでずっとおいしい」などといった声が寄せられているという。ビール好きをはじめとする消費者の心をぐっとつかむインパクトのあるプロモーションには目を見張るものがあるが、それのみならず、彼らをリピーターへと変える泡のうまさがこの売れ行きを下支えしていることは明らかだ。

(※1)4月1日(日)~6月30日(土)までのサントリー出荷

なぜ、泡がうまいとビールがうまいのか?

ところで、サントリーは定期的に、一般消費者に対してプレミアムビールに関する飲用動向調査を実施している。2018年6月に同社が発表したレポートによれば、「最高においしいと感じるビール類の味イメージ」の第1位は「泡がきめ細かい」となった。また「ビール類に求める味」の調査では、「泡がきめ細かい」ことが2017年の4位から今年は2位へと順位を上げている。うまいビールの定義も時代とともに変遷していくものだが、今の消費者は泡のうまさに着目し始めていることが伺える。

「最高においしい」と感じるビール類の味イメージの回答結果。(サントリープレミアムビールレポート2018より)
ビール類に求める味の回答結果、2017年との比較。(サントリープレミアムビールレポート2018より)

では、なぜ泡がうまいとビールがおいしいと感じるのか。ぱっと思い浮かぶのは飲んだ瞬間の口当たりやクリーミーな泡が舌に触れた際の滑らかさといったところだろうが、それに加えて3つの理由がある。香りを逃さないこと、炭酸ガスを逃さないこと、そして酸化を防ぐことである。きめ細かい泡がビールの“蓋”となり、最初の一口だけでなく、最後の一口までビールのおいしさを保つ役割を果たすのである。

“泡はビールの履歴書”。素材・製法・注ぎ方で決まる

このように書くと、サントリーの“神泡”プロモーションはビールのトレンドを意識したものだと思われるかもしれないが、うまい泡は一日にして成らず。サントリーの醸造家たちは「ビールのうまさは、泡に出る」という考えのもと、泡のうまさにも重点を置いて品質を向上させてきた歴史がある。その泡のうまさを決定づけるポイントとなる要素が「素材」「製法」そして「注ぎ方」だ。

まず「素材」へのこだわりを見ると、ビール醸造においては麦芽とホップが主な素材となるが、「ザ・プレミアム・モルツ」はチェコとその周辺でしか産出されない希少なダイヤモンド麦芽と、醸造家が現地で厳選した欧州産ファインアロマホップを使用している。これらの厳選素材はビールの味わいを左右するコクやうまみ、香りを生み出すと同時に、ビールの泡立ちの良さや、きめ細かい泡が長く続く泡持ちの良さといったうまい泡づくりにも一役買っているという。また「製法」の面では、ダブルデコクション製法やアロマリッチホッピング製法といったサントリー独自の製法が、「ザ・プレミアム・モルツ」特有の味や香りを閉じ込めて逃さない、きめ細かい泡を生み出すことにつながっている。

最後の「注ぎ方」に関しては、1980年代に業界でいち早く泡の重要性に着目し、飲食店に向けてビールの注ぎ方やサーバーの管理方法などのセミナーを開始したのがサントリーだった。さらに飲食店向けのオリジナルビールコックや、家庭向けのクリーミー泡サーバーを開発するなど、注ぎ手とツールの両面からうまい泡の注ぎ方を追求してきたのである。ビール醸造の最初の工程である素材選びから消費者に提供する最後の瞬間まで、うまい泡を追求してやまないサントリーの企業姿勢が見て取れる。

自宅でも“神泡”。こんな贅沢はほかにない

こうしたうまい泡づくりへのこだわりに加え、その泡のうまさをより多くの人に届けようとするプロモーションもまた好調な売れ行きの要因となっている。

まず飲食店へのプロモーション活動を見ると、“神泡”品質で「ザ・プレミアム・モルツ」を提供する飲食店は2017年末時点では約1万3000店だったが、今年5月末には3万店を突破し、さらに今年中に3万5000店への拡大を見込む。神泡のうまさに惚れる店主・店長が増加傾向にあることの証左だろう。飲食店からは「神泡のポスターを掲示する以上、お客様に恥ずかしいビールは出せない」といった声も聞かれ、品質向上の相乗効果が見られている。

今夏、数量限定で6缶パックとセット販売される神泡サーバー。

さらに興味深いのが家庭用活動、具体的にはコンビニやスーパーを通しての一般消費者への訴求である。飲食店のみならず家庭でも“神泡”を体感して欲しいとの思いから、缶の「ザ・プレミアム・モルツ」にセットできる専用サーバーと泡持ちが長続きするように設計されたグラスを“神泡体感キット”と称し、今年3月から対象商品とのセット販売や、スーパー店頭などの実演販売を実施。これがあまりに好評を得たため、同様のキャンペーンがこの夏にパワーアップして行われる。

今回のキャンペーンでは、耐久性やセットのしやすさを向上させた手動SS(スクリュー撹拌)式神泡サーバーが、「ザ・プレミアム・モルツ」「ザ・プレミアム・モルツ 〈香る〉エール」の6缶パックに付いた商品を、7月10日(火)・7月24日(火)と8月7日(火)に全国数量限定で販売予定。さらに電動超音波式神泡サーバーが付いたケース(24缶)商品も同日程で数量限定販売される。ちなみに、この電動のサーバーがもらえるキャンペーンは昨年にもあったが、当時は48缶(!)飲んでから応募するというなかなかのハードルの高さ。その点、今回は1ケース24缶ということで、自宅で“神泡”の贅沢がぐっと近づいたことになる。

サントリーの醸造家たちは「ビールを通して豊かな時間を提供したい」と語る。まさに、「ザ・プレミアム・モルツ」は飲食店で気の知れた仲間とグラスを交わす時間を、あるいは自宅で一日の労をねぎらう時間を、より豊かで上質な時間へと変えてくれそうなビールである。