稼ぐ人は、お金儲けのためだけに働かない

お金を正しくたくさん稼いでいる人には、いくつかの傾向があります。なかでも顕著なのは、人を喜ばせるために仕事をしているということでしょう。稼ぐ人というのは、お金儲けのためだけには働いていません。まわりの人を楽しませ、社会に貢献するために働き、その結果としてお金持ちになっています。

お金というものは、世の中の人が役に立ったと評価してくれて、その対価として回ってくるものです。だから稼ぐ人はよい仕事をすることを常に念頭に置いている。はじめにお金ありきではないのです。

お金を追いかけて生きている人でも、たまたま時流に乗って、一時的に羽振りがよくなることはあります。しかし、そうした稼ぎ方は自己中心的なので決して長続きしません。いずれお金が入ってこなくなるのは明白です。

その意味で、モンゴルの巨大企業グループを率いるバータルサイハンさんは「本物」だと感じました。先ほど述べた、「お金を追うな、仕事を追え」というポリシーが一貫しているだけでなく、「人を楽しませる、喜ばせる」という根っからのサービス精神があふれているのです。

▼古代の騎馬兵士に扮し馬に乗った5人がクルマを誘導

例えば、昨年の講演後のことです。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/iannomadav)

ゲル風のレストランで一部の幹部たちとの会食(ワインやウォッカと羊料理)が終わり帰路につこうとしたとき。バータルサイハンさんらが「ささやかなお礼」としてモンゴルの歌を私のために大合唱してくれたのです。夕暮れが近づくゲルの外でのサプライズ……。私は政治家ではありませんし、日本を代表する企業の経営者でもありません。それにもかかわらず、こうした心温まる気配りをしてくれたのでした。

今年の講演では、出迎えのときから度肝を抜かれました。

講演会場に車で向かう途中、なんと古代の騎馬兵士に扮し馬に乗った5人が、旗を翻しながら私の乗った車の脇を走り、誘導してくれたのです。日本では絶対にありえません。これほどまでに歓待されると、私の気持ちは自然と高まりました。