あなたの「いい」はどうでもいい。お客がどう思うかだけが大事

問3)広告デザイン案採用の解答

広告に反応するのはお客です。お客がどれだけいいと思うかのみが重要で、それは時にあなたの意見や好みとは違うことがあります。また、あなたが間違えるのと同じように、高名な専門家であっても、社長であっても間違えます。ですから企業は大きく広げる前に、小さな対象で比較テストをします。これを「A/Bテスト」と呼びます。

例えばグーグルは、リンクの色の選定一つとっても、綿密なテストを行っています。グーグルの検索結果表示ページに貼り付けられている広告リンクは“青色”ですが、現在の色に決まったのはテストを繰り返した結果に基づいています。

11年に出版され、その後世界的なベストセラーとなった小説のタイトルをもじった「フィフティ・シェイズ・オブ・ブルー」と呼ばれるプロジェクトで、グーグル社は約50種類の明度や彩度の異なる“青色”をテストし、最終的に選ばれた色によって広告収入が年間2億ドル(240億円)増えたと言われています。

統計的に最良の選択を重ねることを繰り返す

またアマゾンは、ウェブサイトの検索ボックスの大きさから始まり、チェックアウトのダイアログボックスを画面の右と左のどちらに表示すべきか、最初のクリックで商品説明をどこまで見せるかなどをすべてピクセル単位でテストしています。

山崎将志「儲かる仕組み」の思考法(日本実業出版社)

グーグルやアマゾンのような、世界最高レベルの頭脳が集まっているような会社でも、「これがいいはず」と決め打ちで突き進むようなことはしません。むしろ、そうした人材の集団であるからこそ、市場の声を聞いて、統計的に最良の選択を重ねることを繰り返している点は、われわれ凡人が特に参考にすべき点です。

よって正解は、C)小さな市場で3案それぞれを試し、最も費用対効果の高かった案を採用する、です。

さて、いかがでしたか。3問とも正解できたでしょうか。著書『「儲かる仕組み」の思考法』では、こうした具体的な問いを多数収録しています。一連の問題で、ぜひ「儲けを生み出す思考法」を身につけてください。

山崎将志(やまざき・まさし)
ビジネスコンサルタント。1971年愛知県岡崎市生まれ。1994年東京大学経済学部経営学科卒業。同年アクセンチュア入社。2003年にアクセンチュアを退社し独立。プロフェッショナル開発の知識工房、事業再生コンサルティングのアジルパートナーズをはじめ、数社の新規ビジネスを開発。中でも2011年にイオングループの傘下に入った『カジタク』は業界トップクラスの規模にまで成長した。2010年4月に出版された『残念な人の思考法』(日本経済新聞出版社)が34万部のベストセラーとなり、著書累計発行部数は100万部を超える。2016年よりNHKラジオ第2『ラジオ仕事学のすすめ』講師を務める。
(写真=iStock.com)
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