購入頻度を考える

それぞれの問題について私が考える模範解答を示します。

問1) 野球用品参入の解答

野球をするのに最低限必要なのは、グローブ、バット、ボールです。グローブとバットは、一度買うとめったなことでは買い替えません。きちんと手入れすれば長持ちしますし何か事故でも起こらなければ壊れません。

しかし、ボールはちょっとしたことですぐに無くなってしまいます。野球をやっているわが家の子どもたちは近所の河川敷でよく練習していますが、何日かに1回は必ず川の中にボールを入れてしまうのです。また生き残ったボールも使っているうちに消耗してきます。そんなわけでわが家の野球用品のうち購入頻度ナンバーワンはボールです。値段が万単位のグローブやバットと比べると、単価は数百円ですが、それでも一年間を通してみると結構な金額になります。さらに、グローブやバットと違ってボールはチーム単位でも大量に買うことを考えると、かなりビジネスとしては魅力的です。

現在軟式野球ボールを国内で製造しているメーカーは4社しかありません。商品は全日本軟式野球連盟の規定にのっとっているため性能はほぼ同じです。素材はゴムですから定価に対しての原価率は非常に小さいと思われます。寡占状態が保たれている理由は、おそらく市場規模が小さく、原価率は低いものの生産設備等の投資がそれなりにかかるため、大手企業にとって十分魅力的ではないからだと、私は思います。

目立たない市場を狙う

こうした目で見てみると、軟式野球ボールと似たような市場はゴルフのボールやバトミントンの羽シャトルなどがあります。巨大なビジネスを狙わず中小規模の市場でよいと割り切り、設備投資と知的財産権の問題がクリアできさえすれば、利益率が高く資金の回転もよいビジネスです。

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ビジネスで一旗揚げたいと考えると、どうしても目立つ市場に目を向けてしまいがちです。野球ならバットやグローブ、ゴルフならドライバーやパター、バドミントンならラケットです。しかし、ボールやシャトルなどの市場は目立たないために一般の人は注目しませんが、新しいビジネスを生み出したいと考えている人ならば、こうした市場を狙うという着眼点を持つことが必要です。

よって正解は、C)ボール、です。