しかし、こうした質問が許されるのは、新しい環境に入ってから3カ月だけです。いつまでたっても質問が中心のコミュニケーションをとっていると能力を疑われます。反対に最初の3カ月は何でも質問できる時期なので、堂々と聞きましょう。わからないことは、とにかく質問。「こんなことを聞いたら恥ずかしい」と思わず、自分なりに調べて、わからなかったら「教えてください」と堂々と言える人は、むしろ周りに、熱心な人という印象を与えられます。

転職の場合、「経験者なのにそんなことも知らないの?と思われそうで恥ずかしい」と感じるかもしれません。その場合は「確認したい」という言い方を使いましょう。「ちょっといいですか?」「教えてほしいのですが」ではなく、「確認したいのですが、今、お時間よろしいでしょうか?」がおすすめです。質問ではなく確認という形をとるのです。このように言い方を自分のステージに寄せると、他人に尋ねることがぐっとやりやすくなります。

スマートな質問をすると、周りに「この人はできる」という印象を与えます。わからないと言っているのに「仕事ができそう」と思われるのです。

聞いたあとに、必ず結果報告

そして、もうひとつ「できる人」になるために大事なことがあります。それは、結果報告をすることです。メールや電話で伝える、または社内で偶然会ったときでもよいので、教えてくれた人に対して「教えてもらった通りにしたらできました」などと結果を伝えましょう。たとえその通りにできなくても、「教えていただいた方法ではできませんでしたが、これで解決できました」などと、その後どうなったかという報告をきちんと行うことが大切です。

上司の立場であっても「人事に相談しておいたからね」など、情報発信してくれた相手に、どう処理したかを伝える。そうした結果報告が、あとあと社内外の信頼につながるのです。将来的には「あの人は、ちゃんとホウレンソウをやりそう」といったイメージになっていきます。質問は、最初はもちろん、最後の締めも肝心なのです。

矢野 香
スピーチコンサルタント
長崎大学准教授。NHKキャスター歴17年。心理学の見地から「他者からの評価を高めるスピーチ」を研究し博士号取得。政治家、経営者やビジネスパーソンに信頼を勝ち取るスピーチやコミュニケーションを伝授。著書に『最高の話し方』(KADOKAWA)など。