会社の経理部員や人事部員たちは、何を考え、どこを見ているのか。お金の問題を甘く見ていると、「想定外」の落とし穴に落ちることもある。「プレジデント」(2018年3月19日号)では、11のテーマについて識者にポイントを聞いた。第9回は「警察沙汰」について――。

「会社の年賀状で当選」は窃盗や横領になることも

悪気なくやっていることが、実は違法行為。そんなケースが職場にも案外多いもの。

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身近なところでは交通費の不正請求。「会社の近くに引っ越して定期代が安くなったのに、申告を忘れていた」。理屈上は会社を騙してお金を多く受け取っているので詐欺にあたる。会社からすれば「身内の恥」だし、警察沙汰にすることはないだろうが、金額が大きくなれば懲戒処分の対象になるかもしれない。

ノートなどの備品を持ち帰ってしまう。会社の年賀状で当選したお年玉賞品を自分のものにする。会社が認めていないなら、窃盗や横領に相当する。また、顧客に接待されたお礼に過剰な値下げをするのは背任罪。適正価格で販売する会社員としての義務に反しているからだ。

実際に生じた損害額を請求される場合もある

整理すると、刑事事件としてみる場合は、条文に厳密に該当するものだけが犯罪になる。また窃盗、強盗、詐欺、恐喝、横領などお金に絡んだ犯罪はどれも会社に財産的損害を与えるときに成立する。

一般的には横領した額など、損害額が大きければ会社側から刑事事件として告訴される。損害額が小さければ、黙認されることも多いが、会社が訴えれば有罪になる可能性もある。

また、刑事だけでなく、会社に損害が及んだ場合は民事事件として、実際に生じた損害額を請求される場合もある。さらに、会社の就業規則に書かれている服務規程に反しており、企業内秩序を乱したとみなされたら懲戒処分の対象になりえる。