東京国際フォーラムを擁する国際交流機能を強化

開発の中で時間をかけたのが地権者との協議だった。この開発事業は三菱地所だけでなく、東京商工会議所、東京會舘との三者での共同事業となる。

この敷地には3社の建物が建っていたので、まずはそれら3棟を壊して一つの大きな建物を作ることの協議が重ねられた。当初富士ビルは三菱地所が土地と建物を所有、東京商工会議所ビルは三菱地所の底地の上に東京商工会議所が建物を所有、東京会館ビルは土地と建物を三菱地所と東京會舘が所有するといった形で権利関係が複雑であった。

「3つの建物を統合して建て替えるにあたっては、地権者である東京商工会議所や東京會舘に建て替えがそれぞれのメリットであると感じてもらわなければなりません」(服部謙吾・三菱地所丸の内開発部)

東京會舘は皇居側で結婚式場を運営していたが、これまでは皇居側の50メートル分しか使えなかったのが、今回の計画では敷地いっぱいの100メートル分使えるようになるという。

「この敷地の皇居外苑の眺望は素晴らしく東京會舘の営業上の強みなると考えていたので、そうした点を踏まえ協議を重ね、建て替えのメリットをご理解いただきました。東京會舘は旧東京會舘ビルが建て替え中は営業できないといった非常に難しい状況にあり、ハードルの高さは感じていましたので、一緒に事業を進めていただけると決まった時はとても嬉しかったですね」(服部氏)

 

コンセプトにも工夫を凝らしている。

「東京商工会議所は会議室を運営し、東京會舘は結婚式場、パーティーの会場やバンケットを提供していました。今回それが一つの建物に入ります。同じエリア内には東京国際フォーラムがありますから、ここと連携して、会議などでは東京商工会議所の施設を活用し、その後の懇親会などでは東京會舘のバンケットを使うことなどを考えています」

ビル内にはMICE誘致を促進する団体「DMO東京丸の内」があり、連携していくという。