▼小宮さんからのアドバイス

<strong>小宮コンサルタンツ代表 小宮一慶</strong>●1957年、大阪府生まれ。京都大学法学部卒。旧東京銀行に入行。米国ダートマス大学経営大学院留学(MBA)。96年、小宮コンサルタンツを設立。著書に『日経新聞の数字がわかる本』『「超具体化」コミュニケーション実践講座』など多数。
小宮コンサルタンツ代表 小宮一慶●1957年、大阪府生まれ。京都大学法学部卒。旧東京銀行に入行。米国ダートマス大学経営大学院留学(MBA)。96年、小宮コンサルタンツを設立。著書に『日経新聞の数字がわかる本』『「超具体化」コミュニケーション実践講座』など多数。

やるべき仕事とやらない仕事を見極める前に、自分でコントロールできる仕事とコントロールできない仕事を選別する必要があります。

自分が決裁権を持ったプロジェクトやスキルアップのための勉強、業務と関係のない飲み会などは、コントロールできる仕事に分類されます。これらの判断は簡単です。自分の価値観に照らし合わせて、やるかやらないかを決めればいい。価値観が明確でなく迷うというなら、自分の目標に合致するかどうかを判断基準にしてもかまいません。どちらにしても自分しだいです。

問題は、コントロールできない仕事です。会社に勤めるビジネスマンなら、上司や取引先から指示された仕事がこれにあたります。組織人である限り、これはどんなに無意味に思えてもやるしかありません。

このとき、コントロールできない仕事を、時間を奪うので無駄と考えるのは間違いです。時間管理で意識すべきは、自由な時間をいかに捻出するかではなく、やる気のある時間をいかに増やすか。たとえ拘束時間が長くても、前向きな気持ちがあれば、拘束時間が“ひらめきの時間”へと変わるのです。

銀行に入行して私が最初に指示された仕事は、切手貼りと伝票勘定でした。いっけん退屈そうな仕事ですが、試行錯誤して切手の効率的な貼り方を覚えることもできましたし、伝票を見ることで顧客の業務内容を知ることもできました。与えられた仕事でも、その気になれば次々に工夫やアイデアが浮かびます。

そればかりでなく、コントロールできない仕事も手を抜かずにとりくめば、その段階での仕事のスキルが磨かれて次のステージへ早く進むことができます。ステージが上がれば裁量も与えられ、コントロールできる仕事の比重が増えていきます。価値の低そうな仕事から逃げることばかり考えずに、目の前の仕事にベストを尽くす。結局はその姿勢が、やるべき仕事に集中できる環境へとあなたを導くのです。