アイドルイベントには、「初めて競艇場に来た」というゲストが押し寄せる。

ディズニーランドをお手本に

競艇場で発売する舟券の売り上げを「本場売上」という。総売上金額に占める本場売上の比率を見ると、私がこの会社に入ったころは7~8割あった。ところが、今は1割に満たない。4割強はネットを含む電話投票売上、同じく4割強は他場や他の場外発売所への委託発売。残りは、他場レースからの受託発売だ。だからといって、本場を捨てるわけにはいかない。競艇場に来ないと体験できないものをつくり、来てくださった方を感動させたい。

また、施行者であるみどり市からの信頼を裏切らないためにも、クオリティの高いサービスを提供したい。そこで、ディズニーランドをお手本にして、そのホスピタリティを学んだ。ファンやお客様と呼んでいたのを「ゲスト」に統一し、われわれは自分たちのことをスタッフではなく「キャスト」と呼ぶようにした。設備だけでなく、おもてなしも整えて、どう競艇場を演出すれば、ゲストに楽しんでもらえるか、徹底して追求していった。

ダンスコンテストが大成功

これまで競艇場に来たことのない、新しいゲストを呼ぶための新サービスも手探りながらスタートさせた。たとえば、大きめのステージを作って、ダンスコンテストを企画した。小学生から大人まで、年齢不問でチームのエントリーを募ったら、ものすごい数の応募があった。コンテストの当日は、ダンサーたちのご友人、ご家族が大勢来てくださった。舟券を買わなくても「競艇場って、こんなにきれいだったんだ」と知ってくれるだけでいい。SNSで「競艇場って、こんなにきれいと思わなかった」と広めてくれたら、それで十分だ。

イベントだけではなく、ボートレースそのものをさらにショーアップして、エンターテインメント化していきたい。今の選手たちは、男子選手はかっこよく、女子選手はかわいい。選手全体がスター化すれば、人気は絶対に広がっていく。科学的な根拠に基づいてトレーニングしたり、栄養管理したりできるよう、われわれが選手たちをバックアップすることにした。選手の育成は、本来は選手会が担うべきことだから、運営会社であるわれわれの範疇を超えていて、賛否両論がある。だが、踏み込んでやらなければ、描いている絵は実現できないし、ゲストを感動させることもできない。