一方、経営者含め、企業の方々は「前回は、パーシャル・サクセス(部分的成功)でした。」と言って、前回からの学びを淡々と教えてくださいました。松嶋さんの今回の本にも従業員の方が調理に失敗し、普通だったら怒鳴るところを、でもこれ逆にこうすればいけるんじゃないかと考え、新メニュー開発に繋がったというエピソードがありましたよね。失敗を失敗と捉えない、逆に予想通りに行かなかったことを次のアイデアに繋げてしまう。なんだか腐らせるのではなく、発酵させることに近いですね。やはり幼少期からそういう発想方法を持ってたんですか?

挑戦するやつは美食家だ

【松嶋】これはきっと母の影響が大きいですね。最初は全然意識してなかったけど、「啓ちゃんは転んでもただで立ち上がらないよね」って親に言われて。どういう意味? って聞いたら、「あんた転んでもそこら辺に落ちてる砂とか掴んで転ばせた人にかけるでしょ」って言うから、確かにかけるかもみたいな(笑)。

だから失敗なんてほとんど感じてないですよ。だけど挑戦したら上手くいかないっていうのは当たり前で、格闘家の小比類巻貴之くんと話をしていて思ったんだけど、挑戦する奴はみな美食家なの。汗をかくから酸っぱいのを知ってるし、つらい思いしてるし、苦しいこともしてるから、挑戦するやつは色々な味を味わえる美食家だと。逆に挑戦していないやつは甘いものしか食べてない。

レオス・キャピタルワークスの栗岡大介氏

【栗岡】挑戦って文字の如く戦いを挑まなきゃいけないので自発的なことですよね。現代は変化が激しすぎて体が硬直している人が多いように感じています。勇気を振り絞って自分が行動を起こした時には社会が変わってしまっている可能性もある。だから自分から手足を動かして挑戦すること自体、コスパが悪いと考える人が増えています。そういう人達に対してどう付き合っていくというか、向き合ったりしてるんですか?

【松嶋】身近な人だったら変えようとするけど、そうじゃない人だったらまあしょうがない、諦めます。無駄な時間は使いたくない。みんなを変えようとは思ってません。

【栗岡】挑戦しない人が共通して言う事があるんです。「丁寧に生きたい」とか、「もっと時間を大切にしたい」と言うんです。実は以前、「栗岡さん、ハチャメチャに動きまわって色々な人に会うよりも大切に、丁寧に人生と向き合いなさい」と言われことがあったんです。私は大切に丁寧に人生と向き合ってるつもりだったので、それぞれの言葉の語源を調べたんです。