陸上のインターハイを巡る「不公平」な選び方

野球だけでなく、サッカー、バスケットボール、バレーボールなどのチーム競技は各都道府県に1校(出場校の多い都道府県は2校という競技もある)が全国大会に進めるというケースがほとんどだ。野球ほど国内留学の数は多くないものの、各都道府県によって、全国大会への“難易度”は大きく異なる。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/stefanschurr)

例えば、陸上競技だ。陸上競技はラウンド制をとっているが、これも格差が小さくないのだ。ある県の場合、各大会(1:学校周辺の支部大会→2:県の大会→3:県が属する地区大会)で6位以内に入ると、次の大会に進むことができる。参加選手の少ない県は、支部大会(上記1)がなく、いきなり県大会(上記2)という状況で、さらに県大会のレベル差も大きい。

雑誌『月刊陸上競技』が都道府県大会(上記2)、地区大会(上記3)における「突破記録(過去3年間のボーダーライン最高)」を調べて掲載している。それを見ると、レベルの差がよくわかる。

例えば、「男子400m」。都道府県大会(上記2)での最高タイムは千葉の48秒25(ワーストは徳島の51秒84)だった。この都道府県大会で上位に入った選手が出場する、上記3の地区大会(全国を11ブロックに分けた大会/北海道、東北、北関東、南関東、北信越、東海、近畿、中国、四国、南九州、北九州)で、千葉の最高タイムを上回った地区大会は、千葉が含まれる南関東(48秒16)だけで、その他の地区はすべて下回っている。

つまり、千葉県内の大会で6位以内に入れなかった選手でも、もし南関東以外の都道府県の大会に出場できたら、その大会を余裕で突破して、地区大会でも6位以内(一部種目は上位3~4名)に入り、全国大会であるインターハイの舞台を踏むことができた可能性もあるわけだ。

▼一見「平等」だが、選手は不公平だと感じている

陸上競技の場合、種目のバラつきはあるものの、南関東と近畿のレベルが高い。反対に競技人口の少ない北海道、中国、四国といったところはレベルが低くなる。それにもかかわらず、全国大会(インターハイ)の参加資格は各地区の上位6名に与えられているのだ。インターハイへは「各地区の上位6名」と、一見「平等」に扱われているように見えるが、選手の立場からすれば、とても「公平」とは思えない。

筆者は高校時代、5000mと3000m障害で愛知県大会を突破したものの、東海大会で落選した。顧問の先生が、箱根駅伝常連の大学に「スポーツ推薦」での入学の可否を問い合わせてくれたが、全国大会の出場経験がなかったこともあり、すべて断られた。もし長距離の弱い地区だったら、インターハイに出場できて、箱根駅伝常連校のスポーツ推薦が得られたかもしれない。