仕事に疲れた、毎日が単調、自由が欲しい……独立はしたいけどやっぱり不安。脱サラの先駆者の生活をのぞいてみた――。

バリ島バカンスをきっかけに脱サラ。年商1億円超え
のんびり大好きな元営業マン室野 秀さん

2009年に新卒採用でリクルートグループに入社しました。最初の1年は人材派遣の部署にいて営業を担当、翌年に異動となり、地方でホットペッパーの営業を担当しました。リクルートは独立志向が強い会社でしたが、当時の私は脱サラしたいと思っていませんでした。ただ、札幌で営業をしているとき、この仕事を続けていたら将来が見えすぎて面白くなさそうだと感じていたのを覚えています。

写真=iStock.com/Umkehrer

そんな入社2年目の冬、寒い札幌を出て有給休暇を取って1週間バリ島に遊びに行きました。これが私の人生を変えるきっかけとなりました。

バリ島では自分の人生を生きている方にたくさん出会いました。「サーフィンが好きだからバリに住んでるんだ」という方や、1日に4時間だけ働いてあとは家族とのんびり過ごす方……。リクルートでは数千万円の数値目標を掲げて毎日営業をしていましたが、1日の売り上げが数千円程度の小さな飲食店のオーナーがニコニコしていて、私からすれば輝いて見えました。

バリ島に住みたいという感情が芽生え、帰国後に会社の先輩に相談したんです。そうしたら「じゃあ辞めなよ。行っちゃえよ」と思わぬ返答が。それからわずか3週間後。私はバリ島にいました。11年春のことでした。

貯金額は残り約30万円「いよいよヤバイぞ」

とりあえず家賃3万円程度のワンルームを借りて、海で泳いで飲み食いする毎日。バリ島版のホットペッパーをやろうかなとか、日本人観光客向けのガイドでもやろうかなとかいろいろ考えるも具体的な行動は何もしない。

そんな毎日を送るうちに、ふと気づいたんです。バリ島の人って、全然働いていないな、と。現地の人も、海、クラブ、飲み……と、1日の行動が観光客と一緒。そこでバリ島在住の日本人向けの求人を調べてみたら、給料は月たった4万円(500万ルピア)ほど。ならば首都・ジャカルタで起業しようと思いました。

バリ島で出会った大手日系繊維会社の駐在員にジャカルタのアパートを紹介してもらいました。家賃は6万5000円が最安。しかも1年契約を一括前払いで振り込む必要があります。180万円あった貯金は110万円にまで減っていました。それでも背に腹は代えられない。家賃1年分78万円を払い、貯金額は残り約30万円。バリ島では通じた日本語がジャカルタでは通じず、インドネシア語ばかり。いよいよヤバイぞと不安感が募りましたね。