60歳から得られる役員報酬の魅力

1つ目は、「役員報酬」です。たとえば60歳からの10年間、会社を経営し、1000万円の役員報酬をきちんともらっていれば、税引き前収入の総額は1億円。手取りで7000万円くらいにはなります。これだけで人生100年時代の余生に必要な、月々20万円×30年間くらいのお金は得られます。

三戸政和『サラリーマンは300万円で会社を買いなさい』(講談社)

会社の業績をさらに向上できれば、役員報酬はもっと高くてもいいでしょうし、それにプラスして、中小企業なら経費もある程度自分の裁量で使えます。経営者はすべての活動が会社経営につながりますから、接待交際費など会社で処理できるものはいろいろありますし、当然ですが、家賃や車両費、交通費、電話代、書籍・新聞・雑誌代など、仕事上の目的のあるものはすべて経費計上可能です。なるべく経費を使い、むしろ役員報酬を抑え目にすると、税務メリットも享受できます。

また、中小企業では一般的ですが、配偶者に経理や庶務などの仕事をしてもらうことで、社員または役員として、給料を支払うことができます。自分1人で大きな報酬を得るより、そちらのほうが税務メリットもあります。中小企業は管理体制が整っていませんから、横領その他、お金のトラブルもよくあります。よって、税務メリットだけでなく、金庫番を配偶者にすることの安心感もとても大きいといえます。

60歳からの収入が10倍以上に

対して、会社を買う選択をすることなく、61歳から65歳まで、継続雇用を選択した場合はどうでしょう。

一般的に、継続雇用の給料は定年前の50-60%程度です。大企業の課長職で定年になった人なら、400万円程度あれば“いいところ”ではないでしょうか。その5年間の総収入は、2000万円です。今、50歳の人たちが60歳を超えるころには、さらに継続雇用の給与は少なくなるかもしれません。大企業であなたを生かせるポジションがなくなっていくからです。

中小企業経営者になれば、たとえば年間1000万円の役員報酬を得て、10年間で1億円になると書きました。しかし、報酬以外にも経費を使い、配偶者にも給料を払えば、夫婦で2億円分程度の報酬は問題なく得られるイメージになってきます。つまり、細かな税金などの計算は除外しますが、継続雇用と中小企業を買った場合とで、60歳以降の収入が10倍も変わってくる可能性があるのです。