事業そのものは良いが、経営のやり方を間違えているために利益が出ていないような会社を比較的安価で買収する。そして、大企業では当たり前と思われることを実行し、経営のテコ入れをして黒字化させ、次のオーナーを見つけ、売却する。

そのとき会社の価値は、5倍にも10倍にも跳ね上がっている可能性があります。出資した金額は、何倍にもなって返ってくるのです。

投資ファンドが成功する秘密

三戸政和『サラリーマンは300万円で会社を買いなさい』(講談社)

とはいえ実際のところ、投資ファンドには対象事業に関する高い専門性はありません。たとえば、あなたのように事業に精通した大企業の管理職の方にお願いし、投資先のマネジメントをしてもらいます。たとえば、50歳を超えたビジネスマンになると、仕事人生の最終コーナーからゴールに向けての走り切り方をいろいろと考えている方が多くいます。そんな高い意識と深い知識、さまざまな経験を持った方に、投資ファンドはマネジメントを委任するのです。

きちんとした企業でマネジメントを習得したあなたが、そうしたポテンシャルに恵まれた会社を安価で買い、社長になったとしたら、画期的な改革の導入によって、たちまち企業の経営を好転させることができるでしょう。画期的な改革といっても、すでに見たように、対象となる中小企業にとって画期的だということであって、あなたにとってはそれまでやってきた、やり慣れた普通のやり方を踏襲するだけでしかありません。

たとえば、次のようなことです。

1|在庫を洗い出して整理する。
2|製品ごとに営業利益率を計算する。
3|赤字の顧客との取引をやめるか、値上げ交渉をする。
4|不良在庫を処分する。
5|不採算部門を止める。
6|帳票をシステム化する。
7|全仕入れ先から見積もりを取り直す。
8|部品の発注ロットを小さくする。
9|部品の納期を確認し、早い発注を抑える。
10|在庫の置き場所を最適化する。
11|運送会社と運賃の交渉をする。
12|ホームページを作り、自社の技術を公開する。
13|新規の展示会に出展し、PRしてみる。
14|業務効率化のクラウドを利用する。
15|新規営業の見込み顧客リストを作ってみる。
16|見込み顧客へパンフレットを郵送してみる。
17|見込み顧客への電話をそれぞれ3回ずつしてみる。
18|名刺管理システムを導入する。
19|勤怠管理クラウドサービスを使い、社員の生産性を可視化してみる。
20|会議を開き、社員の意見を聞き、自分の考えを社員に伝える。
21|朝礼で、前日と当日の行動管理をする。
22|週次会議で、先週と今週のPDCA管理をする。
23|月次、四半期、年度計画を立てて、実行に向けて進捗管理する。

いずれも、あなたがこれまで当たり前に行ってきた簡単なことです。何か革新的な技術開発をするわけでも、大規模な先行投資をするわけでも、スクラップ・アンド・ビルドをするわけでもありません。細かいところを見て、時代遅れのものや、ずさんなやり方を、少しずつアップデートするだけです。

それだけのことで、意外と、中小企業の経営は革新されてしまうものなのです。