それによって自分自身に「切り替えろ」「前を向いてやるしかない」と暗示をかけ、気持ちをリセットするように仕向けています。そして、次の日も必ず笑顔で、選手、スタッフの全員と「おはよう」の握手を交わします。

僕としては、前の試合で一度リセットしたものに、今度は新しいスイッチを入れ直すような感覚です。どんな状態も、それは変えません。

困ったときこそ「笑顔」の理由とは!?

他に、僕が気持ちの切り替えとして意識しているのは「笑顔」です。ハノーファーを観察していたときにわかったのが、みんなとにかく笑ったりして、自然体でいることでした。日本ではおそらく一歩間違えればヘラヘラしていると勘違いされるような場面でもリラックスしていたのです。

酒井宏樹(著)『リセットする力「自然と心が強くなる」考え方46』(KADOKAWA)

そこで僕もとにかく笑顔を心掛けるようになりました。すると、不思議と感情が柔らかくなり、自然と気持ちが前向きになっていきます。落ち込んだ感情を引きずり暗い表情をしているくらいなら、笑顔でいたほうが仲間も声をかけてくれるので、より気持ちの切り替えがスムーズにいくようになりました。

また、切り替えがうまくいくようになったことで、周囲からの信頼も厚くなり相乗効果が生まれたのです。以前は、「ヒロキ、昨日のミス、めっちゃ引きずってんじゃん」と思われていたのが、「あいつ、もう切り替えている。気持ちの強い選手になったな」に改善されたことで仲間に与える印象が好転していきました。

やはり試合では気持ちの強い選手は信頼されます。気持ちの弱い選手だと「あいつ、大丈夫かな」と味方に不安感を与えかねません。

繰り返しになりますが、僕はあまりメンタルの強い選手ではないです。だからこそスムーズに気持ちを切り替えて、メンタルの弱さとネガティブな感情を意図的に遠ざけるようにしています。

もし思うように気持ちを切り替えられないのであれば、リセットするためのルーティンをつくり、それを反復することで自分自身に「切り替えなさい」と暗示をかけてもいいと思います。

酒井宏樹(さかい・ひろき)
プロサッカー選手、サッカー日本代表
1990年4月12日、長野県生まれ。千葉県柏市で育つ。柏レイソルU-15、U-18を経て2009年にトップチームへ昇格。2010年にJリーグデビュー。2011年にはチームの主力として活躍し、チームのJ1優勝とともに、ベストイレブン、ベストヤングプレーヤー賞を受賞。同年10月にはA代表に初選出される。本での活躍が評価され2012年にドイツ・ブンデスリーガのハノーファー96へ完全移籍。主力として活躍した後、2016年6月にフランスの名門オリンピック・マルセイユへ完全移籍。マルセイユ移籍後も確固たる地位を築き、不動の右サイドバックとして活躍。日本代表でも欠かせない存在として、2018年ロシア・ワールドカップでの活躍が期待されている。ツイッターアカウント:@hi04ro30ki