「老後はお金じゃないよ」とは言えない

――人生相談なら「老後はお金じゃないですよ」が、ありがちな回答です。

父親を見ていたら、「老後はお金じゃないよ」とは言えないですね。もちろん父は今、楽しくやってますよ。それは私が渡してるお金云々ではなくて、父の能力によるところが大きいと思います。お金があってもなくても楽しくやれる、という能力。まあ、でもねー、っていう話で。住むところがないと困るでしょう。

父はお金持ちではないですが、人持ちですから、私がいなくなっても多分、誰かめんどうをみてくれると思います。でもいつまで生きるか、ですね。

そこも現実の問題としては、そんなに楽観的ではいられないですし、ましてや私には娘もいませんから、ますます楽観できません。

――老後資金を計算すると、暗い気持ちになります。

確かにそうですが、老後の20年に必要な金額を計算して、それを20で割って、想定する年金額を引いたあと毎年これだけ貯めるんだってわかると、なんとかなるかなっていうのが見えなくもなかったりするんで。

完全にカバーは無理かもしれないけど、細かくブレイクダウンすることで、よし、やるぞ、やってくしかないかって、そんな感じにちょっとなってますね。

ジェーン・スー
作詞家、コラムニスト、ラジオパーソナリティ
1973年、東京生まれの日本人。現在、TBSラジオ「ジェーン・スー 生活は踊る」のMCを務める。『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』(幻冬舎文庫)で第31回講談社エッセイ賞を受賞。著書に『私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな』(ポプラ文庫)、『女の甲冑、着たり脱いだり毎日が戦なり。』(文藝春秋)、『今夜もカネで解決だ』(朝日新聞出版)などがある。
(聞き手・構成=矢部万紀子 撮影=プレジデントオンライン編集部)
【関連記事】
老いた父と未婚の娘は、どう折り合えるか
定年後の年金格差「約7735万円」の現実
毎月1万円積み立て投資の"30年後"の結果
結婚相談所にお金をかける意味は、35歳独身にあるか?
「新しい副業」相談に乗って時給1.5万也