ジェーン・スーさんは、いま最も勢いのあるラジオパーソナリティだ。2年前からTBSラジオで自身の名前を冠した番組を月曜日から金曜日まで毎日放送している。そんな“新ラジオの女王”が得意とするのが人生相談。ラジオ番組では昔からの定番だが、なぜ彼女の人生相談がいま人気なのか。「父と娘」をテーマにしたエッセイ集『生きるとか死ぬとか父親とか』の刊行にあわせて聞いた――。(第3回、全3回)/聞き手・構成=矢部万紀子
ジェーン・スーさん(撮影=プレジデントオンライン編集部)

30歳から下の世代は、人生に起承転結がない

――『生きるとか死ぬとか父親とか』も発売5日で重版が決まりました。この本を含め、ご自身の本の読まれ方は、どうとらえていますか?

たまたま運がいいことに私は1973年生まれで、人数が多い「団塊ジュニア」世代です。高度成長期に生まれて、オイルショックが起きて、トイレットペーパー騒ぎがあって、そこから経済がどんどん良くなっていき、バブルが来て、崩壊して、就職氷河期で……。ネタにこと欠かないんです。

それに比べて今の30歳から下の世代は、物心ついた時からずっと日本の経済が停滞していて、起承転結がない。気の毒だと思います。

アップダウンがあって、人数が多い世代の私だから、半径5メートルのことを書いても我がことのようにとってくれる人が多い。次はなんの話題にしようかなと探すのでなく、身の回りのことを書いているだけで、共感してくれる同世代の人がけっこういるのは、ラッキーだったと思います。

就職氷河期だなんだかんだで、いいことがなかったと思ってましたけど、今は人数の多い世代の生まれでよかったと思ってます。

共感のリアクションをいただくことが多い

――今回の本なら、父親との関係に悩む人が多いということでしょうか?

母親との接点、父親との接点、さまざまでしょうが、なんとなく自分に照らしあわせてくれる人が多いと実感しています。その人たちが、最終的にどうとらえてくれるかはわからないですけど。

手応えというより、あくまで結果論です。経験してないことは書けませんから、経験してることを書く。すると、ありがたいことに共感のリアクションをいただくことが多い。ちょっと他人事みたいですが、私の書くものはそういうものなんだなと。