エリートの過信が、カモにされる

「過信」も振り回される要因の1つ。高学歴で、有名企業に勤めていて、コツコツ真面目にやってきたような人は要注意だ。エリートコースを歩んできた人ほど、職場で思うように出世できなかったり、上司から評価されなかったりすると、「自分は優秀なのに」という過信から、振り回される人間になっていく。

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「自分を過大評価している人ほど、欲求不満とそれに伴う怒りを持ちやすいもの。根底には、なんらかの劣等感が潜んでいて、しばしば不全感が強い。一流企業に勤め、それなりに出世しているけれど、自分よりもさらに出世している同期に劣等感を抱いている場合などがあてはまります。このタイプは、『自分は上司にもっと評価されて、出世したい』という承認欲求を抱くようになる。すると、こうすれば認められるはず、褒められるはず、と上司の意向を忖度し始め、やがては上司にうまく操られ、振り回されていくのです」

社内で孤立している人も、他人を振り回す人の餌食になりやすい。たとえ上司に振り回されかけても、社内に相談できる人がいれば、上司の理不尽な振る舞いを客観的に判断することができる。直属ではない別の上司に相談することも可能だ。しかし、孤立していると、自分を振り回している人間の言うことしか耳に入らなくなり、相手の言っていることが間違っていようとそれに気づかずに従い続けていくことになる。

「悪質な人の場合、振り回す対象をわざと孤立させることも。上司から『みんながおまえのことを悪く言ってるぞ』なんて言われた場合は、要注意です。信頼できる人に相談したり、自分の評判を確かめたりして対処しましょう」

万が一孤立させられそうになったら、表向きは上司の言葉を信じている振りをしながら聞き流し、裏ではほかの人とつながる。

「相手の言うことを真に受けず、その場をうまくやりすごす『スルー力』が大切。会社の中で生き残るには、ある程度のずるさも必要です」