金融以外の分野でもブロックチェーンは注目されている。エストニアでは、ブロックチェーンを用いてビザの発行や会社の登記などが効率化された。ブロックチェーンと人工知能を用いて組織の運営を行おうとする試みもある。

金融機関には重大なマイナスだが、社会全体にはプラス

このように考えると、目先のビットコインの価格動向に一喜一憂するよりも、その発行を支えるブロックチェーンの拡張性を考える意義は大きい。加えて、新しいネットワーク・テクノロジーを創出しようとする企業のイノベーション力に注目することは、社会の変化を考えることにつながる。それは今後の変化を見極め、成長期待の高い企業への投資機会を発掘するなど、わたしたちの人生を豊かにすることにつながるだろう。

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ブロックチェーンなどのテクノロジーを用いて振替決済機能が現在の金融機関以外にも可能になると、社会全体の効率性が上昇することが想定される。それは金融機関にとっては重大なマイナスになるものの、社会全体にとっては使いようによってプラスになる可能性が高い。

そして何よりも、ブロックチェーンというシステムの汎用性を考えると、今後、仮想通貨以外に運送の記録管理、宝石の鑑定書など多くの応用分野が考えられる。それは社会にとって間違いなく大きな福音になるはずだ。

真壁 昭夫(まかべ・あきお)
法政大学大学院 教授
1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員、信州大学経済学部教授などを経て、2017年4月から現職。
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