トップ50のうち、実業団で今も走るのは9人だけ

関東の有力大学に入学した41人はみな「箱根」を目指したわけだが、実際に箱根駅伝に出場できたのは28人で残り13人は出ていない。3人に1人は「箱根」に届かなかったことになる。

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大学に進学した42人のうち、大学卒業後に実業団チームに進んだのは29人だ。トップ50のうち高卒で実業団に進んだ5人を加えると、50人中34人ということになる。では、現在も実業団チームで「現役選手」を続けているのは何人なのか。

答えは、鎧坂哲哉(旭化成)、園田隼(黒崎播磨)、久井原歩(黒崎播磨)、川上遼平(カネボウ)、橋本隆光(小森コーポレーション)、的場亮太(小森コーポレーション)、山崎亮平(中国電力)、棟方雄己(カネボウ)、細川勇介(大阪ガス)の9人。東京五輪に向けたサバイバルレースは、トップ50の2割弱しか生き残らなかったことになる。

大学に進学して、実業団に進まなかった選手(13人)のほとんどは一般企業に就職した。一方、大学卒業後に実業団に進んだ選手は前述したように29人だが、その大半はすでに陸上部を引退。退社して家業を継いだり、転職したりする者もいるが、そのまま会社に籍を残し、社業に専念している元選手が多い。陸上部を抱える会社には、トヨタ自動車、ホンダ、日清食品グループなど大企業が多く、引退後も収入は安定している。

▼トップ50圏外だった非エリートの「巻き返し」もある

最後に、トップ50の中から2020年東京五輪に近い選手を紹介したい。

まず、トラック種目(5000m、1万m)ではキャリア十分の鎧坂に期待がかかるが、鎧坂以外は厳しい状況だ。マラソンでは、今年2月の別府大分毎日マラソンで2時間9分34秒の日本人トップを奪い、今夏のアジア大会代表に選ばれている園田隼(黒崎播磨)が最も近い位置にいる。

また「10年前のトップ50」では圏外だったが、同学年で東洋大に進んだ山本憲二(マツダ)は、今年2月の東京マラソンで9位(2時間8分48秒)に入った。園田と山本は東京五輪の日本代表選考会であるマラソングラウンドチャンピオンシップ(MGC)の出場権をつかんでいる。トップ50に入れなかった「非エリート」がその後の努力によって、巻き返した形だ。