在学中に利息が発生しない奨学金は「お得」だが…

対して、国の教育ローン(日本政策金融公庫)は最新の利率が1.76%。ひとり親家庭は0.4%を減額する優遇措置があるが、連帯保証人が立てられない場合は、保証料として0.7%が加算される。ひとり親で保証人を探せないケースも多く、その場合は実質2.06%だ。民間の教育ローンも国のローンを見ながら設定しているので、利率は2%前半が多い。

利率が低く、在学中に利息が発生しない奨学金はお得と言っていい。しかし大きなデメリットは、支給が大学に入った後ということだ。最近のAO入試や推薦入学は10月、11月ごろに入学金を支払う必要があるため、手元にお金がなければ教育ローンに頼らざるをえない。そして、親には「子どもに借金をさせたくない」という抵抗感も強いだろう。卒業した学生が奨学金の返済で苦労するケースも少なくない。

だからといって奨学金を悪者扱いするべきではない。可処分所得は下がっているのに、大学の学費は上がり続け、30年前と比較して倍になったという統計もある。親が簡単に学費を払えなくなった時代に、奨学金を利用するのは必然の手段だと考えるべきだ。

私が勧めたいのは、教育ローンと奨学金の併用である。できないと思われがちだが、特に問題はなく、入学金は教育ローンで払って、大学へ入ってからの学費は奨学金で払えばいい。最近は地方自治体の動きが活発になり、Uターンして地元の企業で就職したら返済支援するところもあり、沖縄県では一部の県外大学に進学した学生に対し、月7万円の給付型奨学金を始めた。こうした動向は今後も増えてくるはずなので、積極的に利用したい。

▼「悲惨な返済」に陥らないよう、学ぶべき基礎知識

久米忠史
奨学金アドバイザー
1968年、和歌山県生まれ。株式会社まなびシード代表取締役。進学費用対策HP「奨学金なるほど!相談所」を運営する。著書に『奨学金 借りる?借りない?見極めガイド』(合同出版)など。
(構成=鈴木 工)
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