親友が「私が第1号のお客さんになってあげる」

「まだ自信がないと迷う私に、親友が『私が第1号のお客さんになってあげる』と背中を押してくれたんです。最初はまったく売れませんでしたが、ブログを書いたり、販売会を企画してお客さまとの接点を地道に増やして。やはり直接お会いすると、リピーターになってくださる方が多いんです」

最近は顧客の要望に応える形で始めたジュエリーリフォーム事業が順調。祖母の形見のクラシックな指輪を普段使いのペンダントにするなど、持ち主の思いに寄り添った提案をしている。

「自社のデザインにこだわる高級店では絶対にできなかったこと。お客さまの望みをかなえられることに、この上ない喜びを感じます」

40歳で出産した後は、育児との両立が難しく、1度は休業を考えた。だがある顧客から「なくなるのは困る。細々(ほそぼそ)とでもいいから続けて」と頼まれ、踏みとどまった。

「息子が幼稚園に入り、夫も家事や育児に協力的になってくれたおかげで、やっと余裕が出てきました。今後はビジネスをもっと大きくして、いつか、お客さまを豪華な船上パーティーにお招きするのが夢です(笑)」リフォームでは、元の台座を下取りして料金から割り引くなど、リーズナブルになるよう心がける。

22歳:日立製作所に就職。受付に配属
24歳:宝石鑑定士を目指してスクールへ
26歳:Tiffany&Co.に採用される
29歳:経営の勉強をするためコンサルティング会社に入る
36歳:アクセサリーのネットショップを開業
41歳:家事・育児に追われ仕事ができない
44歳:長男が幼稚園に入るとともに、夫が育児に協力的になった

撮影=加藤 梢