ただし、どんなに意識改革が遅れたとしても2025年になるまでには今の経営陣は第一線を退いているはずです。「テレビ」という枠から飛び出していくためにはこうした抜本的な改革が必要なのかもしれません。

将来を考えると、テレビ局が存在し続けるには映像コンテンツ総合制作会社へと脱皮する道しか残されていません。テレビ、ネット、パッケージと自由自在に良質のコンテンツを提供する集団に変貌できれば、これからも視聴者はついてきてくれます。

番組ごとに事業管理できる新体制の構築を

今後、テレビ局の経営陣がやらなくてはいけない仕事は、事業管理を行い、新体制を構築することです。

コンテンツを制作し、それを様々なメディアに向けて販売していこうとしたら、まずはマーケティングを行う必要があります。市場を調査し、各メディアからどれだけ収益を上げられるのか概算していかなくてはなりません。

複数のメディアでビジネスをするようになれば、今度は新たな評価システムを作る必要があります。これまでは視聴率が制作スタッフの唯一の評価の基準だったはずです。しかし、ネット配信やパッケージ販売が加わることで、視聴率だけを物差しとすることはできなくなります。こうした変化に対応し、新しいシステムを社内に作っていかなくてはならないのです。

それに伴い、予算の決め方も変わるでしょう。制作だけでなく、営業の仕方も大きく変化すると思います。有名な話ですが、スタジオジブリは映画館での興行では大きな利益を出せていないにもかかわらず、その後のパッケージの売上が大きいので最終収支は黒字となっています。こういうケースもあるので、ひとつひとつの番組のコスト管理、売上管理というのをプロジェクトごとに行う仕組みを作らなくてはいけません。