毎年6万人が命を落とす「狂犬病」のリスク

梅毒は「過去の病気」だと書いたが、現代は過去にはやった感染症がはやる「再興感染症」の時代なのだ。

その意味では「狂犬病」についての知識も持つべきである。

世界では毎年、6万人近くが狂犬病で命を落としている。病原体は神経を攻撃するウイルスで、ワクチンを打ってもなかなか助からない。怖い感染症だ。しかも狂犬病ウイルスを持つのはイヌだけではない。ネコ、サル、リスなどにかまれて発症することもある。

海外で感染して帰国後に発症したケースはいくつかあるものの、日本国内で人が感染した事例は、昭和30年以降ない。それだけに忘れ去られた感染症なのだ。

年に1回のワクチンの予防接種がイヌの飼い主に義務付けられている。この義務付けが狂犬病を日本の国内から消滅させたが、海外にはまだまだ狂犬病ウイルスが存在する。いつ国内に入ってくるか分からない。それなのに「イヌの健康を害するワクチン接種は止めるべきだ」との声が上がっている。

狂犬病も新聞社説のテーマとして扱ってほしい。

(写真=時事通信フォト)
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