予想できる人が当選方法を他人に教えるはずがない

このカラクリは実にシンプルだ(図参照)。

3ケタの数字の末尾は0~9の10通りだ。そこで1000人に対し、1つの数字を100人ずつに送る。そうすると10分の1の確率で、必ず100人がどれかの数字で当たる。次にその当たった100人に、同じように10通りの数字を10人ずつに送る。これもまた10人が当たる。その10人に、さらに各数字を送る。

つまり、最後には1000分の1の確率で、必ず1人が3回連続で末尾の数字が的中し、その人に4通目のメールを送るわけだ。

仮に最初に10万人にメールを送ったとすれば、3回連続で当たる人は100人になる。もしかするとそのうちの1人くらいは50万円を振り込むかもしれない。

実はこれは古典的な詐欺で、昔の競馬の予想屋などがそうだ。10頭立てのレースならば、10人の客に単勝でそれぞれ1~10番の馬が1位になると教えれば、必ず1人は当たる。

株価の上下も同じ。株は上がるか下がるか2分の1の確率だから、100人の顧客に、ある銘柄が明日必ず上がる、必ず下がると50人ずつに教えれば、50人は当たる。その当たった人に同様に教えれば、連続で当たる人が出る。そうすれば株式投資のプロだと相手を信じ込ませることができる。

私は講演でもよく話すのだが、ナンバーズなどの予想ができる人が、そのノウハウや法則を他人に教えるはずがない。ナンバーズの場合、当選金額を当選者数で分配するので、当選者が増えれば1人当たりの当選金額が減るのだから。

常識的に考えればこんな詐欺にだまされないが、目の前に示された数字だけを見て信じてしまう人もいるので気をつけたい。

野口哲典
ライター
1958年、愛知県生まれ。東海大学卒業。市場調査会社を経て、ライターとして独立。『数字のウソを見抜く』など数学に関する著書多数。講演も精力的に行っている。
(構成=田之上 信 写真=iStock.com)
【関連記事】
「99999×99999」を5秒で計算する裏技
「サラリーマン大家」はこうして騙された
かぼちゃの馬車は「金を吸う魔法」だった
自分の知能を「爆発的に進化」させる方法
"髪の本数がまったく同じ人"は存在するか